ソフトバンクもユーティリティ戦略、Oracle 10gを活用

2003/11/21

 ソフトバンクBB 代表取締役社長 孫正義氏は、同社と日本オラクルが10月末に発表した新戦略「BBユーティリティ・コンピューティング」について、「ソフトバンクBBが築いた全国を網羅するフルIPネットワークと、エンタープライズ・グリッドを実現するOracle 10gを組み合わせることで、個人顧客、法人顧客に対して豊富なコンテンツやアプリケーションを提供できる」と述べ、個人、企業に対してオンデマンドのコンテンツを提供する考えを示した。

ソフトバンクBB 代表取締役社長 孫正義氏

 ソフトバンクBBと日本オラクルは、Oracle Database 10g、Oracle Application Server 10gを使って個人、企業向けにコンテンツやアプリケーションを提供。その際のインフラとしてソフトバンクBBのIPネットワークを活用する。孫氏がOracle 10gをベースに提供する予定のサービスとして挙げてのは、アプリケーションのストリーミングサービス。企業が必要なアプリケーションをパッケージで購入するのではなく、ネットワーク経由でアプリケーションを起動して利用するサービスで、孫氏は「ソフトベンダは流通コストを一気に削減できる。エンドユーザーもソフトのバージョン管理が楽になり、不必要なソフトを購入するなど無駄なコストをなくせる」とメリットを強調した。課金形態は、1回使用ごとの支払いや年間、月額の固定料金、使用時間に応じた従量課金などさまざまなプランを用意する計画だ。

 ネットワーク上のサーバにデータを保存し、必要なときにダウンロードして利用する法人向けオンラインストレージのサービスも始める。ソフトバンクグループ傘下のエックスドライブ・ジャパンが従来のサービスを刷新して開始。企業のグループで利用する共有ファイルサーバとしての使い方を提案する。孫氏によると「企業の管理コストが3分の1になる」という。ソフトバンクBBではほかに映像配信サービスの「BBケーブルTV」「ビデオ・オン・デマンド」でもOracle 10gを活用することを計画している。それぞれのサービス提供にOracle 10gを使うことで、可用性やパフォーマンスが高まり、低コストで運用できるようになるという。

ビデオメッセージで登場した米オラクル CEOのラリー・エリソン氏。新戦略への期待を述べた

 ソフトバンクBBは企業向けサービスの拠点として「BBユーティリティデータセンター」を構築した。デルコンピュータのブレードサーバで構築したシステム上にOracle 10gを走らせて、ヤフーBBのコンテンツやイー・トレード証券などグループ内の情報システムを統合する。顧客管理や課金管理などを共通化することで、運用・管理コストの低減を狙う。BBユーティリティデータセンターではWebサーバやデータベース、IPセントレックス、オンラインストレージなど企業、個人向けにさまざまなサービスを提供する計画もある。孫氏は「サーバが各企業に必要であったのは昔の話になる」と述べ、新サービスが企業情報システムを変える可能性があることを強調した。

 孫氏が大々的に打ち上げたBBユーティリティ・コンピューティングだが、現在のところ提供されるサービスは限られる。日本オラクルによると、今回の両社の提携は孫氏と米オラクル CEOのラリー・エリソン(Larry Ellison)氏が会食し、決定したといい、「具体的なサービス内容はこれから」(日本オラクル)という状況。今後はソフトバンクBBが中心となって、フルIPネットワーク+Oracle 10gのプラットフォームで魅力的なサービスやコンテンツを提供してくれるプロバイダを開拓する。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料(10月31日付け)
ソフトバンクBBの発表資料(同)

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