[@IT情報マネジメント交流セミナー開催]
情報システム部に必要な“Plan-Do-See”改善策

2003/12/3

 アクセンチュアのシニア・マネジャー 大川秋生氏は、企業情報システムの運用で一般的な「Plan-Do-See」(計画-実行-評価)のサイクルについて、各サイクルで障害があり「身動きが取れなくなっている情報システム部が多い」と、問題点を指摘した。

アクセンチュア シニア・マネジャー 大川秋生氏

 大川氏は12月2日に開催された情報システム部マネージャ向けのセミナー「@IT情報マネジメント交流セミナー」(主催:アットマーク・アイティ)で講演した。

 Planの問題点として大川氏が指摘したのは、「一部のユーザーやマネジメントからの不平、不満や要求を補うためだけの情報システム化計画になっている企業がある」と指摘。情報システム部がエンドユーザー部門のバックオーダーを最初に取り入れるシステム構築では、投資対効果の検証が正しく行われないとの考えを示した。

 Doのプロセスで多いのは、企業戦略が明確でないままで、情報システム部がプロジェクトの実行を強いられること。情報システム部の意向が反映されないまま、予算、スケジュールが固定されるケースが多く、「システムとして何かが達成できても、ビジネスとしてアウトプットが達成できないプロジェクトが多い」という。

 日本のシステム開発では、Seeに当たる評価のプロセスが抜けているといわれる。大川氏が示した平成15年版 情報通信白書のデータによると、システムを新規開発した企業の中で、システム導入後に定期的、定量的な効果の検証を行った企業は、わずか13.5%だった。システム開発の効果を検証するために指標を整備している企業も33.5%で、大川氏は「導入後に振り返って検証することが実施されていない。情報化投資に対する意識が非常に低い」と指摘した。システム導入後にプロジェクトを評価するという発想がないため、システムの課題や問題があいまいなまま、次のPlanにプロセスが移行するというケースが多くなる。

 情報システム部によるシステム開発のPlan-Do-Seeサイクルがうまくいかない理由は、計画を策定する情報システム部のトップと、その実行や評価、管理を行う現場の間で、意思疎通や役割分担が不十分なため、と大川氏はいう。大川氏が提案するPlan-Do-Seeの改善策は、現在の仕事を現場担当者が実施し、次のステップを情報システム部マネージャが検討、さらに次のステップをマネージャの上司に当たる情報システム部長が考えるような常に一歩、二歩先をマネージャが見通すサイクル。つまり現場が計画を実行しているときは、情報システム部マネージャはその評価をし、さらに情報システム部長は次の計画を策定するということになる。現場がシステム導入後に評価を行っている段階では、情報システム部マネージャは評価を織り込んで修正した次の計画について考え、上司の情報システム部長は、その計画の実行法を検討するというサイクルが理想。大川氏は情報システム部マネージャの取り組みについて、「現状の仕事はなるべく現場担当者に任せて、戦略として、より先のアクションを上司と考えることが重要」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

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