国の情報セキュリティ研究機関に何が期待できるか

2004/3/23

 独立行政法人 通信総合研究所は2004年1月に発足させた「通信総合研究所情報セキュリティセンター」の開設を記念して3月22日、情報セキュリティ研究戦略シンポジウムを開催した。通信総合研究所 理事の塩見正氏は「現場と一体となって研究を進める」と述べ、「日本の中でのセキュリティ研究の中核になっていきたい」と意気込みを述べた。

通信総合研究所 情報通信部門長 松島裕一氏

 通信総合研究所 情報通信部門長 松島裕一氏は新センターが取り組む3つのテーマを説明。1つ目は災害時など非常時に情報通信の手段を確保するための技術開発。2つ目は不正アクセスを防ぐための技術開発、セキュアプラットフォームの開発など。3つ目は暗号・認証技術のアルゴリズムの設計手法、電子政府で利用する暗号技術の選定などだ。

 それぞれのテーマに合わせて、非常時通信では「セキュアネットワークグループ」、不正アクセス対策は「セキュリティ高度化グループ」、暗号技術の開発は「セキュリティ基盤グループ」を設置する。民間のセキュリティ情報分析機関であるTelecom-ISAC Japanや総務省、経産省が共同で実施している暗号技術評価プロジェクトCRYPTRECなどとも連携し、「最先端の研究成果を迅速に社会に還元」するとしている。

 シンポジウムは、東京大学 国際・産学協同研究センター長 安田浩氏が講演したり、産官学のセキュリティ担当者によるパネルディスカッションが行われるなど、新センターへの意気込みが伝わる内容だった。しかし、すでに情報処理推進機構(IPA)などいくつかの独立行政法人がセキュリティ対策の研究を行っている。外部から見るとどのような研究をしているのか分かりにくかったり、各機関で重複している分野があるように思える。通信総合研究所情報セキュリティセンターをはじめ各機関には現場へのフィードバックなど早期の実績作りが求められるだろう。

(編集局 垣内郁栄)

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独立行政法人 通信総合研究所

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