世界を相手に戦う技術、IPAが発掘・育成
2003/1/24
浅海智晴氏のテーマは「RelaxerStudio」の開発 |
情報処理振興事業協会(IPA)は、2002年度の「未踏ソフトウェア創造事業」における開発状況報告「未踏14シンポジウム@国際フォーラム」を1月22〜23日の2日間にわたって行った。
「未踏ソフトウェア創造事業」とは、政府が推進するミレニアム・プロジェクトの一環として、経済産業省からの補助を得て、2000年度よりIPAが開始したエンジニアの育成事業。ソフトウェア分野で優れた能力を有する「スーパークリエータ」の発掘支援を目的とする。個人、または数名のグループによる独創的なソフトウェア技術やアイデアを公募し、市場性、研究開発要素で秀でた提案を採択、開発関連資金の補助や担当するプロジェクト・マネージャのアドバイスなどを提供する。2002年度の応募総数は523件、そのうち採択プロジェクト数は74件だった。採択者のうち、学生・大学院生が全体の40%(30件)を占め、企業従事者が34%、大学・研究機関従事者が20%となった。採択者の平均年齢は31.1歳であり、2001年度の36.2歳を大きく下回った。
採択者の1人である浅海智晴氏のテーマはXMLスキーマコンパイラ「Relaxer」を核にしたXML/Java分散コンポーネント統合エディタ「RelaxerStudio」の開発である。
W3Cでは、XML文書の構造を記述するためのスキーマ言語として「XML Schema」を標準化としているが、仕様が膨大で複雑という難点が指摘されている。これに対し、SGMLのスキーマ言語「DTD」の弱点を克服し、「XML Schema」並みの記述性を備えながら、シンプルな構造を持った言語としての「RELAX」に注目が集まっている背景がある。浅海氏が開発したRelaxerは、RELAXで記述されたスキーマを読み込んでデータ構造に合ったJavaのクラスなどを生成するコードジェネレータの一種。コマンドベースのインターフェイスであること、エンジニアに高度な技術を要求する点で、平均的なスキルを持つエンジニアにとって、実際に利用するには大きな壁があった。「RelaxerStudio」は、このような問題の解決を目的として開発が進められているエディタである。
浅海氏は「日本発のソフトウェア技術が育たないことに懸念を覚えていた。日本発の言語と処理系であるRelax/Relaxerの世界標準としての地位を確立することを目指したい」と意気込む。
(編集局 谷古宇浩司)
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情報処理振興事業協会(IPA)
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