セールスフォース日本法人に新社長、大企業への浸透目指す
2004/4/1
セールスフォース・ドットコム日本法人の代表取締役社長に、日本IBM、ソフトバンクBB出身の宇陀栄次氏が4月1日付で就任することが3月31日、分かった。ASPでCRMのサービス「salesforce.com」を提供する同社は急成長中で業界の注目を集めている。米本社は株式公開を準備していて重要な時期。宇陀氏は「創業期の堅実なペースから成長拡大していくことが求められている」として、パートナーとの協業を強化し、小中規模から大規模へと顧客基盤の拡大を図る考えを示した。
4月1日付でセールスフォース・ドットコム日本法人の代表取締役社長に就任する宇陀栄次氏 |
宇陀氏は代表取締役社長就任を前に、3月25日には米セールスフォース・ドットコムの上級副社長に就任した。宇陀氏は日本法人の現状について、「決して悪いわけではない」と説明。しかし、米国は日本法人以上のペースで成長していて、日本法人も同様のペースでの成長が求められているという。
セールスフォース日本法人の課題は大規模企業への浸透。大企業の部門などでsalesforce.comが使われる例はあるが、初期導入コストの低さ、利用しやすさに注目した「中堅企業の利用が圧倒的に多い」(宇陀氏)のが現状。拡大を図るには中堅企業のすそ野を広げると同時に、大企業での大規模な利用を増やすのが必須というのが宇陀氏の認識だ。
拡大を図る施策として宇陀氏が考えているのはパートナーとの協業関係を強化すること。セールスフォースは現在、NECや日立製作所、キヤノン販売など20社以上と協業している。今後はこれらのパートナー各社に対して、ASPでCRMサービスを提供するセールスフォースのメリットをこれまで以上に説明し、より強固なパートナーシップを築けるようにする。宇陀氏は「日本で普及したブロードバンド回線の上でさまざまなアプリケーションが動き始めると確信している」と述べたうえで、「お客さまの知恵を借りてすぐにサービスを改善できるのがASPのよさ」と説明。パートナー各社や顧客企業に対して「リアルタイム・デベロップメントが可能になる」ことを説明し、支持を集める考えだ。
さらに宇陀氏は企業の既存の基幹システムと、salesforce.comを連携させられるアプリケーション・プラットフォーム「sforce」の利用をパートナー各社や顧客企業に積極的に呼びかける考えも示した。sforceはWebサービスをベースにしたテクノロジで、salesforce.comのカスタマイズのほかにERPやポータル、財務システムなど企業の既存システムと連携させることができる。宇陀氏はsforceを「スムーズにシステムのお化粧直しができる。EAIの実践型」と説明した。セールスフォース日本法人では、sforceを活用することでsalesforce.comと既存システムの親和性が高まることを顧客企業に強調し、導入を促進する考えだ。
(編集局 垣内郁栄)
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