富士通との提携でサンのロードマップに変化は?

2004/6/9

 米サン・マイクロシステムズのプロセッサ・エンジニアリング担当バイス・プレジデント マーク・トレンブレイ(Marc Tremblay)氏が、6月8日に行われたサンのユーザー向けイベント「Network Computing 2004 Summer」で講演した。トレンブレイ氏は、「サンの3500人のプロセッサ開発者のうち、90%はNiagara、Rockなどスループット・コンピューティングを実現するための次世代プロセッサの開発に注力している」と述べ、富士通との提携強化後もスループット・コンピューティング戦略を推し進めるサンの考えが変わらないことを強調した。

米サン・マイクロシステムズのプロセッサ・エンジニアリング担当バイス・プレジデント マーク・トレンブレイ氏

 スループット・コンピューティングとは、ある一定の時間内に大量の計算をこなすことを指す。無線ICタグの普及などで大量のデバイスがネットワークに接続される時代が来ると、それらを管理するサーバの処理も急増することが考えられる。スループット・コンピューティングは、複数のプロセス、スレッドを同時に処理することで時間当たりの処理能力を高める。

 サンではスループット・コンピューティング向けのプロセッサとしてUltraSPARC IVを開発。トレンブレイ氏は、UltraSPARC IVのアップデート版として、能力を約2倍に高めたUltraSPARC IV+を1年後にも出荷する計画を示した。

 トレンブレイ氏によると、サンはスループット・コンピューティングを実現するプロセッサとして、90ナノ・プロセスで製造する「Niagara」(コード名)を開発中。Niagaraは32のスレッドを同時に処理できるプロセッサで、UltraSPARC IIIiの15倍のパフォーマンスを持つという。

 サンはすでにNiagaraの後継として「Rock」(コード名)の開発に着手している。Rockは65ナノ・プロセスで製造されるプロセッサで、UltraSPARC IIIと比較して30倍のパフォーマンスを持つことになるという。

 一方、サンと富士通が共同開発し、2006年にも両社が出荷する予定の新サーバシリーズ「Advanced Product Line」(APL:コード名)は「SPARC64 V」がベースになる。サン、富士通は今後、SPARC64 V+、VI、VI+と開発を進める予定で、2006年にSPARC64 VI+をベースにしたAPLを出荷するとみられる。

(編集局 垣内郁栄)

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