肖像権侵害出品は即刻削除、Yahoo! オークション
2004/6/15
社団法人日本音楽事業者協会 常任理事 尾木徹氏(左)、ヤフー 法務部長 別所直哉氏(右) |
社団法人日本音楽事業者協会(音事協)とヤフーは6月14日、「肖像権侵害撲滅のための共同キャンペーン」を展開すると発表した。キャンペーンの対象となるのは「Yahoo! JAPAN」内の「Yahoo!オークション」。両者が(権利者の)肖像権を侵害していると判断した場合は、その出品をサイトから削除するのが基本姿勢で、削除のための基準および出品者に対する対応などの詳細については今後詰めていく予定。
音事協がインターネットメディアと共同で肖像権侵害撲滅キャンペーンを展開するのは今回が初めてのこと。これまで同協会は約40年にわたり、肖像権侵害撲滅の啓蒙活動を続けてきた。最近になってようやく(肖像権の)認知度が高まってきたと同協会 常任理事 尾木徹氏はいうが、それは主に新聞や雑誌を始めとした紙媒体を想定してのことであり、しかも(尾木氏がいう)肖像権侵害者は編集者や記者を含む「いわゆるプロフェッショナル」であった。だが、インターネットの普及は「“シロウト”による肖像権侵害の増大が予想できる。しかも、どのような形で肖像権侵害が行われるか想像もつかない」。ネットの世界で大きな影響力を持つヤフーと協力し、大々的なキャンペーンを展開することで、ネット上の肖像権侵害を未然に防ぐというのが音事協による今回の目的だ。
両者が共同で行うのは「肖像権を侵害する物の出品状況の調査」「削除を速やかに実施するための基準の検討」「削除対象物を発見した場合の連絡方法の検討」のほか、「発見した“侵害品”について音事協からヤフーに通知する体制の構築」など。最終的には肖像権を侵害する出品をゼロにすることを両者は望む。
ところで、そもそも肖像権とは何か。肖像権には、人格権の一部としての肖像権と財産権の一部としての肖像権がある。前者は誰にでも一律に認められている権利で、写真などが無断で雑誌などに掲載されてしまった場合に人格権侵害や名誉毀損などで訴えることができる。後者は財産権である“パブリシティ権”としての肖像権で、テレビや雑誌などの媒体に露出することで経済活動を行っている人々に認められている権利である。現在のところ日本では、肖像権は法律の条文として存在しておらず、判例によって法的に認められているのみの存在。音事協では、肖像権の立法化も視野に入れながら活動を行っている。尾木氏は「立法化は当然のことで、これを阻むのは世間の肖像権に対する無知のみ」と話す。
(編集局 谷古宇浩司)
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