ヤフーBBテレビを発表するソフトバンクの真意
2002/11/14
「ブロードバンドNo.1企業」を目指すというプレゼン資料をバックに事業を説明するソフトバンクの代表取締役社長 孫正義氏 |
BBケーブルTVはヤフーBBのADSLモデムにセットトップボックスを接続して、通常のテレビで見る仕組み。ビデオオンデマンドの機能があり、好きな時間に映画などのコンテンツを楽しむことができるという。孫氏は「電子レンタルビデオが実現する」と述べている。12月に試験サービスを始めて、来春には全国展開を目指す。
BBケーブルTVの利用料はヤフーBBの利用料とは別に、月2500円程度に設定する予定。月額料だけでドラマやニュース、アニメなど17〜18の「ベーシックチャンネル」を閲覧することができる。好きな時間にコンテンツを楽しむことができるビデオオンデマンドのコンテンツも用意。孫氏によると「映画の提供を受けるためにハリウッドのメジャースタジオと交渉していて、ほぼ合意している」という。孫氏は「来年には数千タイトルの映画を見ることができるようになる」と述べた。
孫氏はヤフーBBの現状についても説明した。ヤフーBBは月20万人前後の新規加入があり、累計での加入者は10月末で120万人を超えた。そのうちの77万人がIP電話のBBフォンを利用しているという。10月の新規加入者の獲得シェアは47%で、孫氏は「11月は獲得シェアで50%を超えると考えている」と述べた。BBフォンユーザーは年内に100万人を超えると見込んでいて、今後5カ月以内にヤフーBB全体のユーザーが、損益分岐点の200万人を突破すると見ている。
孫氏によると低価格と見られているヤフーBBは「それぞれのサービスは安いが、複合的サービスの収入は他社よりも高い」という。ユーザー1人当たりの月額平均収入は約3700円で、孫氏は「他社よりも高い」と語り、ヤフーBBが利益を生み出さないのではないかという懸念を打ち消した。BBフォンのユーザー1人当たりの月額平均収入は1100円。キャッシュフローも来年度に単月黒字の見込みだという。設備投資額は9月末までで1250億円。今後の拡販、設備投資などは調達のめどが立っているといい、孫氏は「手探り状態のステージは越えた」と述べた。
ソフトバンクは現在、ヤフーBBの販促で全国の量販店でキャンペーンを行ったり、電話での加入作戦を大々的に行っている。主要駅でヤフーBBの無料モニターを募るキャンペーンも開催。販促費が上がることでヤフーBBの収益性を悪化させることも懸念されている。しかし、孫氏は「ユーザー当たりの獲得費用は2万円前後で、他社と変わらない」と説明し、懸念を否定した。
ソフトバンクは11月15日に中間決算の発表を控えて、ヤフーBB事業を不安視する市場の懸念を打ち消したかったというのが、今回の発表の真意かもしれない。実際、会見には証券アナリストも参加して、孫氏に厳しい質問をしていた。加入者120万人という実績を積み上げてきたにもかかわらず、ソフトバンクの事業を疑問視する市場関係者は多いようだ。膨大な額の社債償還などで「綱渡り」と言われているソフトバンクにとっては、少しの失敗でも命取りになりかねない。
(垣内郁栄)
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