品質管理部門は「英知の中心」になるチャンスだ、マーキュリー

2004/7/6

 マーキュリー・インタラクティブは、エンジニアのあいだで負荷テストツールの「LoadRunner」や、機能テストツールの「WinRunner」といった品質管理ツールを提供するベンダとしてよく知られている。同社はそのポジションを土台に、企業の情報システム全体の品質や状況を管理するためのツールを提供する戦略「BTO」(Business Technology Optimization)を提唱。来日した同社のボアーズ・ハラミシュ(Boaz Charalmish)氏(研究開発担当ジェネラルマネージャ兼副社長)は、今後はITの品質管理がビジネスにおいて重要度を増していくことが、BTO戦略の背景にあるとした。


──いま企業の情報システムは.NETやJ2EEなどによって分散化が進んでいます。分散したシステムをテストし、品質を管理していくことは非常にむずかしいことですね。

「企業にとって、ビジネス目標を達成しないIT資産を持つことがリスクだ」(マーキュリー・インタラクティブ 研究開発担当ジェネラルマネージャ兼副社長 ボアーズ・ハラミシュ氏)

ハラミシュ氏 もちろん、いままでと同じようにコンポーネントのテストをして、アプリケーションの単体テストをして、統合テストをする、というニーズは変わらないと思います。しかし、例えば電子メールのように、メールサーバやDNSやファイアウォールといった複数のコンポーネントが1つのシステムで関係してサービスを構築することが増えてきています。この場合、なにか問題が発生したときにどの部分に問題があるのか原因が分かりにくいものです。

 マーキュリーは5月にAppilogを買収しました。同社のツールは、コンポーネントの関係を記述するテクノロジを備えており、アプリケーションやインフラの複雑な関係をツールが把握することで性能や稼働状況を管理できます。J2EEや.NETは、機能レベルでのバグは優れた開発ツールが解決してくれるようになってきています。今後はアプリケーションを統合したときの機能や性能、品質が重要になってきており、マーキュリーはそこにフォーカスしていくつもりです。

──日本の品質管理ツールの市場は、最近になってようやく規模が大きくなってきたようです。米国ではこの市場はどのように成長してきたのでしょうか。

ハラミシュ氏 米国では、ITバブル崩壊前には「性能が不足していたらサーバを追加すればいい、機能が不足していたらソフトウェアを購入すればいい」といった風潮で、品質についてはあまり語られませんでした。しかし、ITバブルの崩壊以後、コストを下げて、かつ価値を高めることが大事になってきています。つまり、ビジネスのニーズを満たすために情報システムがきちんと稼働しているかどうか、という点が問題になってきているのです。そのために品質管理のニーズが高まり、現在でも引き続きその重要性は高まってきています。

 こういう状況は、ソフトウェアの品質管理部門がセンター・オブ・エクセレンス(英知の中心)になるチャンスです。新しい製品やシステムをリリースするときに、開発者や製品担当者は品質管理部門に、解決すべき問題を問い合わせてきます。また出荷すべきかどうかの判断を相談しにきます。つまり、品質管理部門は単にテストの専門家ではなく、問題を解決する方法やビジネス的な決定についてのオーソリティになることができるのです。

──たしかに、ソフトウェアやITの品質管理にたずさわるエンジニアの責任は今後重くなっていくと予想されます。

ハラミシュ氏 現在ではITがビジネスを動かしているわけで、それが十分な品質で稼働しているかどうか、というのはビジネスオーナーにとっても重大な関心事です。今後はビジネスオーナーが品質管理部門や担当エンジニアのパートナーになり、ITのモニタやマネジメントがビジネスの重要な部分になっていくことでしょう。

 マーキュリーでも、ITの問題がビジネスにどのようなインパクトを与えるのか、といったことが判断できるツールや、例えばSLAに対応して「あとどれくらいシステムが止まると制約違反になる」といったようにリスクを管理できるツール「Mercury IT Governance Center」を、BTO戦略に沿って提供しています。

(編集局 新野淳一)

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マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン

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