日本IBM開発製造部門と水母(くらげ)

2004/7/31

日本IBM 取締役専務執行役員 開発製造担当兼大和システム開発研究所長 内永ゆか子氏

 日本IBMが開発製造部門(APTO)の抜本的な構造改革に着手している。4月1日付で同社 開発製造担当の責任者に就任した内永ゆか子氏(取締役専務執行役員 開発製造担当兼大和システム開発研究所長)の理念は、製造開発部門の役割を、より顧客の視点に立ったものへと改編していくものだ。内永氏は「(基礎研究所を含む)IBMの開発製造部門は当初、技術研究指向の部門だったが、その後、製品レベルでの(技術の)インテグレーションを指向する部門へと変わっていった。今後は、システムレベルでの(技術の)インテグレーションを開発部門のすべての要員が意識する必要がある」と話す。

 具体的には、従来、バラバラに活動していた技術開発グループの上位にサービスグループ(APTOソリューション開発)とセールスグループ(APTOソリューションセールス)を設置、ここで集約した顧客の要望を各技術開発グループと共有する組織体制にした。同社の開発製造部門は、日本国内の「先進ユーザー」を主要顧客として展開している巨大な部門(総勢約2500人。東京基礎研究所も傘下に含む)だが、それだけに、各技術分野同士の横の連携がなかなか取りにくい組織構造となっていた。

 APTOソリューション開発には専任スタッフ400人に加え、個別部門から300人を招集する。APTOソリューションセールスは約70人の体制である。このほか、(製品やシステムの)アーキテクチャに関するアドバイスなどを行う「アーキテクチャ・ボード」も設置した。アーキテクチャ・ボードは各部門の上位アーキテクトやビジネス・スペシャリストで構成される委員会である。ちなみに、ここでいう各部門とは、「東京基礎研究所」「ソフトウェア開発研究所」「ポータブルシステム」「PC&ソリューション開発」「印刷システム」「製造」「システム開発研究所」「コンポーネント技術」などの各開発部門を指す。これらの組織改編により、日本IBMの開発製造部門は「水母(くらげ)のような組織になる」(内永氏)という。すなわち、各部門が足で、その足を束ねる頭ができた、というわけだ。

 研究開発の現場と営業の融合部門を構築できるのは、世界中のIBMの拠点の中でも「日本だけ」(内永氏)である。確かに、東京基礎研究所がある神奈川県大和市と東京の箱崎や六本木にある本社部門は電車で1時間程度の距離である。開発製造施設は滋賀県野洲郡にあるが、それでも、他国の状況に比べれば近距離といえる。

 現在、日本IBM(の開発製造部門)では、「デジタル情報家電」「ユビキタス」「アクセシビリティ」「デザイン」という主にコンシューマ・エレクトロニクスの分野に関する技術の研究・開発に力を入れている。実際、コンシューマ・エレクトロニクスの技術には、IT分野の技術が応用されつつあるのが実状だ。あらゆるデバイスがネットワークに接続されつつある時、コンシューマ分野とエンタープライズ分野の技術が垣根なく融合していかなくては、スムーズなサービスの実現はおぼつかない。

(編集局 谷古宇浩司)

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