ブログブーム、猫も杓子も古川氏(マイクロソフト)も

2004/8/5

マイクロソフト 執行役 最高技術責任者 兼 米マイクロソフト バイスプレジデント 古川享氏(左)とマイクロソフト MSN事業部 コミュニケーションサービスグループ ディレクター 丸岩幸恵氏(右)

 マイクロソフトは8月4日、ティー・オー・エスと業務提携を結び、ブログサービス「MSN Spaces」を開始すると発表した。8月10日にβ版のサービスを始め、秋ごろを目処に本格運用を開始する。1年間で100万人以上のユーザー(ブロガー)獲得を目指す。当面は完全無料サービスだが、ユーザー数の拡大とともに、MSN Spaces内の広告展開および有料オプション機能の追加(容量拡大など。基本は10MBのファイル容量)といった収益確保のための仕組みを展開していく。
 
 マイクロソフト 執行役 MSN事業部長の塚本良江氏は「100万人のユーザーが確保されれば、500〜600万人程度のユニークユーザーが見込め、クライアントにとってもMSN Spacesへの広告出稿価値が出てくるのではないか」という目論見を持っている。ただし、同社の説明を聞く限り、現段階でビジネススキームが確定しているわけではないようだ。同社としては、完全無料サービスでユーザー数を増やした後に、具体的なビジネス展開のための手をうっていくという流動的な計画を持っている。

 ブログサービスでは後発となるMSN Spacesの売りは、「携帯電話対応サービスの充実」(MSN事業部 コミュニケーションサービスグループ ディレクター 丸岩幸恵氏)という点にある。このためにティー・オー・エスと業務提携を結んだ。
 
 ティー・オー・エスは、携帯電話上で提供する無料のホームページ作成サービス「魔法のiらんど」を運営している。同社によれば、携帯電話上では月間9億ページビュー、PC上で同345万ページビューという実績を持つ。
 
 マイクロソフトは、10代から20代中盤という若年層が主要ユーザーであるティー・オー・エスの携帯電話を中心とした顧客層とMSNのHotmail/メッセンジャーのユーザーをMSN Spacesのボリュームゾーンとして想定している。Nielsen//NetRatingsのインターネット基礎調査(2004年6月)によると、携帯電話とPC両方を利用する人口は約3200万人で、対前年比20%増で増加傾向にあるという。マイクロソフトが携帯電話との連動サービスを強調する根拠の1つはここにある。

 マイクロソフト 執行役 最高技術責任者 兼 米マイクロソフト バイスプレジデント 古川享氏は、インターネットの進化の技術的な側面に触れながら、ブログの社会的なインパクトについて熱弁を振るった。トラックバック(双方向リンク)やシンジケーション(サイト連携)機能の存在、RSS(RDF Site Summary)の利用によるプッシュ型のコンテンツ配信といったブログの技術的な特徴は「個人がメッセージを発信するだけでなく、質の高いコミュニティを構築できる技術的な基盤になる可能性が大きい」と古川氏はいう。そして、インターネット対応携帯電話が、現在市場に流通している機種の90%(総務省「主要国の情報指標」)に達する日本こそ、「ブログが開花する土壌である」と主張する。古川氏自身もMSN Spacesでブログを立ち上げる予定だ。「どんな映画を観たとか、どんなレストランに行ったとか、個人的な情報を提供すると同時に、IT業界についてのコメントも提供していきたい」と意気込む。

(編集局 谷古宇浩司)

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