IBMフェロー ドン・ファーガソンが語るエンジニアの心得
2004/8/6
IBMフェロー ドン・ファーガソン氏 |
IBMのエンジニアリング・コミュニティ(約16万人で構成される)における55人のIBMフェロー(IBM最高位の技術職位)の1人ドン・ファーガソン(Donald
F. Ferguson)氏が来日した。ファーガソン氏はEJBやWebSphereの生みの親ともいわれる著名な技術者で、現在はIBMソフトウェア・グループのチーフ・アーキテクトとして技術面の指揮を執っている。最近では、Webサービス、ビジネス・プロセス管理、グリッド・サービス、WebSphereのアプリケーション開発に注力している。
1987年にIBMリサーチに入社した同氏が行ってきた研究分野は「ファイル・システム・パフォーマンス(Hiperbatch)」「データベースのバッファ・プールのチューニング(DB2)」「ゴール・オリエンテッド・パフォーマンス・マネジメント、OSチューニング(MVS
Workload Manager)、並列トランザクション処理システムのワークロード・バランシング(CICSPLEX/SM)」など。1993年から分散オブジェクト指向システムの研究を開始し、CORBAベースのオブジェクト・トランザクション・モニタのフレームワークとシステム構造の定義といった分野の発展に貢献した。これらのシステムの初期設計とプロトタイプが、IBM
Component BrokerやWebSphereの製品化につながった。
ファーガソン氏は1997年にIBMアカデミー・オブ・テクノロジーのメンバーに選ばれ、1998年に技術理事に任命されている。IBMフェローに任命されたのは2001年5月30日のこと。「顧客や同僚のエンジニアたちとのディスカッションを通して、新しいアイデアを創出する。その際、常に問題意識を頭に置いておくことがポイントだ。朝、目が覚めた時に新しいアイデアが思い浮かぶ、ということはない。だいたいわたしは気が短く、怠惰な人間なので、いままでよりも簡単になるような方法をいつも考えている」とファーガソン氏はいう。
後進のエンジニアの育成に関しても、ファーガソン氏は一家言を持つ。「短絡的な思考はエンジニアにとってとても危険だ。常に長期的な視点を持つこと。エンジニアには何よりも忍耐力が必要なのである。また、同僚であれ、顧客であれ、自分がチームの一員であるということを自覚すべきだろう。さらに、時代の変化には敏感に反応し、新たな技術やトレンドを拒絶するのはできるだけ避けるようにした方がいい」。
最後に、IBMの最高位の技術者であるファーガソン氏の仕事に対する考えは、非常にシンプルで力強いものがあった。「自分の仕事(の成果)が1000年後も残っているとは思わない。人生の意義は仕事そのものではないと思う。仕事が終わった後の、家族との団欒(だんらん)、そういう時間こそが人生なのではないだろうか。わたしはよく“WebSphereの父”といわれるけれど、わたしはWebSphereに関わる仕事をしただけで、WebSphereを生んだわけではないのである。わたしはわたしの娘の父親に過ぎない」。
(編集局 谷古宇浩司)
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