Q2決算好調の楽天、球団は買わない
2004/8/20
楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏 |
楽天は8月19日、2004年第2四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比177.4%の108億3000万円、営業利益は同333.1%の37.6億円で、2004年第1四半期同様、高水準の伸びを示した。たび重なる買収攻勢でグループの規模拡大に努めてきた楽天だが、会員データベースの統合など、買収した企業のサービスを楽天ブランドに集約する動きを本格化させることで、グループ企業としての体質を筋肉質にする動きに力を入れている。代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は「売上高1兆円、経常利益1000億円という目標が達成できる段階に入ってきた」と自信に満ちた表情で会見に臨んだ。
買収で規模の拡大を急いだ楽天の当面のグループ戦略は、点のままで存在していたさまざまなサービスを統合することにある。現在、楽天グループの総会員数は約2800万人(2004年6月末時点)で、これらの会員が「ショッピング」「トラベル」「ポータル」「ゴルフ」「金融」「証券」といった各サービス分野に分散している。2004年第2四半期で、この2800万人の会員IDを統合するという作業を完了させた。具体的には、「旅の窓口」「楽天市場」「インフォシーク」「GORA」それぞれの会員IDを、共通のポイントプログラムの下に「楽天グループ会員」として統合した。会員ID統合にともない、楽天グループで統一したブランド戦略も展開、「DLJ direct」を「Rakten SECURITIES(楽天証券)」に、「旅の窓口」を「Rakuten TRAVEL」へと変更、さらに、ローマ字「R」を基調とした新たなブランドイメージの確立も急ぐ。
カンパニー別の特筆すべき動きとしては、トラベル事業において、「楽天トラベル」と「マイトリップネット」の会社合併を8月に完了し、9月を目処に「楽天トラベル」としてサイトの統合を急ぐ。2004年第4四半期に国際線航空券の予約事業を開始する計画もあり、ワールドトラベルシステムと業務提携(発行済株式の20%を取得し、3200万円の出資を行っている)を結んだ。また、中国のトラベル事業の成長を見越し、中国国内のインターネット宿泊・航空券予約事業で50%以上のシェアを持つCtrip.comに出資をしている。
そのほか、新規事業として、「楽天カード」の募集を開始し、個人向け金融事業進出への基盤作りを行っている。「募集初日に数千人規模の応募があり、出だしは好調」と三木谷氏はいう。「楽天カード」を足がかりに、個人向けのローン事業への参入も狙う。金利は10%台を想定している。また、楽天市場内で「楽天カード」が使用できる体制作りも行っている最中だ。なお、記者から(プロ野球の)球団買収の予定はあるかとの質問が出たが、三木谷氏は「買うつもりはない」と一蹴(いっしゅう)した。
(編集局 谷古宇浩司)
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