個人情報保護法を商機に、サンがセキュリティ新製品

2004/9/22

 サン・マイクロシステムズは9月21日、セキュリティ対策のためのサーバソフトウェア「Sun Java System Identity Manager」(以下、Identity Manager)の販売を開始した。同社 営業統括本部 常務取締役 本部長 末次朝彦氏は「サンはあらゆるプラットフォームで、セキュリティを高く保った環境を提供しようとしている」と、同社の戦略の方向性を語った。

サン・マイクロシステムズの営業統括本部 常務取締役 本部長 末次朝彦氏。「なりすましを許さない、究極の認証環境を作る」と語った

 サンが考えるセキュリティ対策のポイントは「保管」「認証」「ID管理」の3つ。同社では、ID情報のセキュアな「保管」場所としてSolarisを提供、Javaカードによる「認証」機能やDirectory Server、Liberty Alianceによってシングルサインオン環境を提供する。そして今回のIdentity Managerでは、認証に用いるIDのライフサイクルを「管理」する機能を提供し、分散したネットワーク環境でもセキュアな情報管理を構築するソフトウェアラインアップが自社製品だけでそろった。

 多くの企業には複数のサーバやアプリケーションが散在しており、例えば退職者があるたびに、サーバやアプリケーションごとにIDとパスワードの削除を行わなければならないなど、管理に手間がかかっていた。もしも削除し忘れなどがあれば、そこがセキュリティホールとなる危険性もある。

 今回のIdentity Managerは、こうした分散環境でもIDを集中的に管理でき、異動や退職によるアクセス権限の変更や、入社退社などによる新規作成、削除といった操作、さらに全社共通のセキュリティポリシーの適用やアクセス権限情報の視覚化など、管理者の工数削減と管理の厳密化に役立つ。「企業をセキュリティのリスクから守ることが、すなわちコストの削減につながる」(末次氏)。そのため、Identity Managerの販売ターゲットは、ある程度以上のサーバやアプリケーションを稼働させている企業に絞られるという。

 2005年4月から全面施行される「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)により、多くの企業は社内外からの不正アクセスに対していままで以上に厳密な運用を求められている。サンにとって今回の製品投入で最も重要だったのは、「個人情報保護法の対策として、サンは包括的なソリューションを提供している」(末次氏)というメッセージを明確に打ち出していくことができるようになったことだろう。

(編集局 新野淳一)

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サン・マイクロシステムズの発表資料

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