サンの電子自治体攻略法は「地域のSIerと組む」

2004/8/4

 サン・マイクロシステムズは8月3日、地方のシステム・インテグレータ(SIer)と連携し、J2EEを活用したITサービスの共通基盤を構築する取り組みを柱とする電子政府・電子自治体戦略を発表した。地方自治体のIT化は主に国産のITベンダが手がけていて、外資ベンダの参入は困難なのが現状。サンは中央の大手ベンダに仕事を奪われがちな地域SIerと組むことで、地域の産業振興や人材育成を自治体にアピールし、受注につなげる考えだ。

サン・マイクロシステムズ e-Japan 営業開発本部 本部長 中村彰二朗氏

 サンなどの外資系ベンダ6社は2004年春、電子政府・電子自治体市場向けに共同でシステムを提案する「e-Japan オープン・スタンダード・コンソーシアム」(OSC)を設立した。サン以外の参加企業は日本BEAシステムズ、ミラクル・リナックス、日本オラクル、SAPジャパン、シマンテック。サンはOSCの参加企業と協業し、電子自治体市場を攻略する。

 OSCの戦略は、複数の自治体が共同で利用できるJ2EEベースのIT共通基盤を構築すること。その共通基盤上に各自治体が人事給与や財務会計、電子申請などのアプリケーションをそれぞれ構築する。日本の自治体や中央政府では、システム基盤がバラバラに構築されるケースが多く、無駄なIT投資が行われているという指摘がある。OSCが考える共通基盤システムは、各アプリケーションで共通化しやすい開発フレームワークやセキュリティ、運用管理、ポータルなどをJ2EEベースで統合する。サンのe-Japan 営業開発本部 本部長 中村彰二朗氏は共通のIT基盤を作り、複数の自治体で共有することで「コストを3分の1に下げられる」と説明した。

 サンは共通基盤とともに地域のSIerとの連携を自治体に強調する。共通基盤の構築では参加したOSCのメンバー企業が、共通基盤システムについての著作権を放棄。「共通基盤システムをユーザーのものにして、自由に使ってもらえるようにする」(中村氏)という。自治体が自由に共通基盤を使えるようにすることで、地域SIerによるアプリケーション開発を促進し、地域の産業振興につなげるのが狙いだ。

 また、OSCの参加企業は自治体の入札に参加せず、地域のSIerをバックアップする。地域SIerと連携することでエンジニアの育成を行い、大手ベンダと戦える競争力をつけさせる。「中央の大手ベンダではなく、地域のSIerにもっと仕事が落ちる仕組み」(中村氏)を採用した共通基盤システムと人材育成を両輪に、電子自治体市場を攻略する。

(編集局 垣内郁栄)

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