「あわよくば有償版に」、無料で商用利用可能なLinux版Sybase
2004/10/6
サイベース マーケティング&ビジネスアライアンス本部長 麻生洋氏 |
オラクル、DB2、マイクロソフトに続く主要なデータベースベンダの1つであるサイベース。以前からの同社の強みは、レプリケーションサーバやデータウェアハウスなど、データベースを活用するためのソフトウェアにある。今回同社は、そうした機能を強化したミドルウェア製品群「Sybase Data Services Platform」の販売を開始した。
同社マーケティング&ビジネスアライアンス本部長 麻生洋氏は、企業のデータを活用するという同社の製品戦略を深めるため、アライアンスの強化に乗り出すとした。富士通、NEC、サン・マイクロシステムズなどのハードウェアメーカーのほかに、SAPの中小企業向けソリューションBusiness OneをSybase製品対応にするなど、グローバルな連携も深める。
Sybase Data Services Platformは、Real Time Data Services、Mirror Activator、Dynamic Archive、DODSの4製品からなる。
■Real Time Data Services(RTDS)
RTDSを利用することで、データに対するアクションをデータベース側が能動的に開始できるようになる。
例えば、データベースに受発注のデータを追加する場合、与信管理、会計システム、注文管理などさまざまなデータベースを参照し、整合性を保つように連携する必要がある。こうした連携作業はアプリケーションが複数のデータベースにメッセージングなどで伝えてきたが、管理コストが高く、つねにデータベースをポーリングする必要があるなど、オーバーヘッドによるパフォーマンスの劣化や遅延があった。
RTDSによって、データに対するアクションをデータベース側から能動的に起こすことが可能になる。これでポーリングのためのアプリケーションを排除し、オーバヘッドを減少できる。
■Mirror Activator
遠隔地にデータを保存し災害時に備えるディザスタリカバリサイトは、通常はデータを保存しているだけの待機状態にある。このデータの整合性の保証と、活用を行う製品。
データベースのログだけを、ストレージベンダのハードウェアを利用してディザスタリカバリサイトに送り、それをMirror Activator経由でレプリケーションサーバに送ると、Sybase Adaptive Enterprise Serverで、オリジナルサイトと同じデータベースを遠隔地で再現でき、データ一貫性も保証される。遠隔地でのレポート出力業務や、分析作業などに使うことで業務が分散され、コンピュータリソースの効果的な利用が可能になる。
現在サポートしているストレージベンダは、EMC、ベリタス、IBM、日立、ネットワークアプライアンス。
■Dynamic Archive
システムの運用を続けるとデータベース内に過去のデータが蓄積されていき、それが検索や追加といったデータ操作の性能を徐々に落としていく。この製品は、データベース内でアクティブでなくなったデータを、データベースの外にアーカイブする。米OuterBay社との共同開発。データベースに蓄積されたデータサイズが小さくなるため、レスポンスが100倍以上改善されることもある。アプリケーションからはアーカイブ後のデータベースも同じように見えるため、アプリケーション側には変更の必要がない。
■Dynamic Operational Data Store
DB2、VSAM、IMS、Informix、SQL Server、Oracleなどのデーターベースの内容を、同社のレプリケーションサーバに集約してSybase IQへ送る。BIアプリケーションなどはすべてSybaseIQ上で稼働させることによって、既存のデータベースはBIアプリケーションからのアクセスから解放されるため、パフォーマンスの向上が実現する。
これ以外に、同社の主力RDBMS製品であるAdaptive Server Enterprise 12.5.2日本語版の販売開始もアナウンスされた。管理ツールや性能などの強化が行われたが、今回最大のトピックはLinux版の無償バージョンが用意されたこと。このAdaptive Server Enterprise for Linux Express Editionは、商用利用も許諾されている。制限は、メモリ2GB、データベースサイズ5GBまで。パッチも提供され、プロダクトサポートも有償のインシデント契約で受けられる。日本語のマニュアルも無償でダウンロード可能。今後ASEの新しいバージョンがでるたびに、Express Editionも対応していくという。
麻生氏は、「無償のバージョンでまずSybaseを使っていただき、あわよくば有償バージョンに乗り換えてほしい」と、同社製品への呼び水としての期待を込めた。
(編集局 新野淳一)
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