802.11a/b/gを初めてワンチップ化、年末に製品登場

2004/10/14

米アセロス・コミュニケーションズのマーケティング・ビジネス開発担当バイス・プレジデント コリン・マクナブ氏

 アセロス・コミュニケーションズは10月13日、無線LAN業界で初めてIEEE802.11a/b/gの3種類の規格にワンチップで対応した無線LANチップ「AR5006X」を発表した。すでにOEMベンダなどにサンプル出荷を開始しており、2004年第4四半期には量産する。

 これまで、IEEE802.11a/b/gの3種類の規格に同時に対応するためには最低でも2個のチップが必要であったため、チップ面積や省電力化の弊害となっていた。今回、アセロスがワンチップ化を実現したことで、IEEE802.11a/b/g対応製品の低価格化や低消費電力化、小型化を促進させることになりそうだ。価格面では、1万個受注時で1個当たり12ドルで、従来より約15%のコスト削減を実現したとしている。

 米アセロス・コミュニケーションズのマーケティング・ビジネス開発担当バイス・プレジデント コリン・マクナブ(Colin L.M. Macnab)氏は、「インテル社のIEEE802.11a/b/g対応チップ『Intel 2915abg』が6個のチップを使用して実現している機能を、当社は1個で実現した。このことからも、明らかな価格競争力が当社にはあることが分かるだろう」と自信を見せている。

中央上に見えるチップが新開発の「AR5006X」。これ1つでIEEE802.11a/b/gの3種類の規格に対応

 AR5006Xは3規格をワンチップで実現したほか、同社の無線LAN通信高速化技術「Super AG」と、無線LAN通信長距離化技術「eXtended Range(XR)」を搭載している。これらの技術によって、スループットは約60Mbps、到達距離は831mと、従来比でそれぞれ約2倍を実現した。

 マクナブ氏は、「AR5006Xは年内に発売される家電に搭載される予定だ。さらに来年には携帯電話やVoIP製品、2006年以降には高級車にも搭載されるだろう。従来のデータ通信、ネットワーク機器から家電や携帯電話にも搭載されることにより、市場規模は2006年には21億2800万ドルになると予測している」と今後の計画を語った。

(編集局 大津心)

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