NECの中国市場戦略は協業重視、新たにi2と提携

2004/11/2

 NECと米i2テクノロジーズは11月1日、次世代サプライチェーンマネジメント(SCM)構築事業において協業し、共同で国内および中国を中核としたアジアでのソリューションビジネスを推進すると発表した。両社で拡販チームを結成するほか、業種・業務別のテンプレートを共同開発する。NECは2004年3月、中国市場の開拓を目的にスウェーデンの業務アプリケーション・ベンダ「Industrial and Financial Systems」(IFS)に出資、協業するなど中国市場への取り組みを強化している。

NEC 代表取締役副社長川村敏郎氏(左)とi2テクノロジーズ会長兼CEOサンジブ・シドゥ氏

 今回の協業では、i2のSCM新製品「SCOS」(Supply Chain Operating Services)を中核にアジア圏、特に日本と中国にスポットを当てて販売していく。SCOSは、J2EEやXML、SOAP、JAASなどの標準技術によって、自社内の既存システムと他社のBtoB連携を実現するプラットフォームだ。出荷実績や市場動向、在庫、生産状況などのデータを、ビジネスプロセスに従ってリアルタイムに連携する。

 今回の協業では、両社の社員約20人をアジア圏における共同拡大チームとして結成するほか、SCOSを含むi2製品の動作検証を行う「コンピテンスセンター」や「デモセンター」の設置、共同チームによる業種・業務別テンプレートの共同開発、i2製品を担当するNECのSEを2007年までに300人に増員するなどの4種類の施策が、計画の柱として挙げられた。

 2004年3月期時点でのNECの海外売上高は全売上高の約24%だが、今後中国を中心にさらに販売を強化し、2007年ころには30%まで伸ばしたいとしている。中国では、同社の強みであるシステム・インテグレーション事業やソリューション事業を中心に売上増を狙う。同社はすでに、運用管理ソリューション分野でヒューレット・パッカードと提携して関係を強化しており、今回のi2社との提携もこのようなグローバルコラボレーションの一環だという。

 NEC代表取締役副社長川村敏郎氏は、「特に中国市場は、製造業のコスト削減や、巨大マーケットという点で、今後最も注目すべき国だ」と強調したほか、「現在、当社の国内SCM市場シェアは約10%、売上高260億円だ。これを2007年ころには400億円まで上げたい」と抱負を語った。

 また、i2テクノロジーズ会長兼CEOサンジブ・シドゥ(Sanjiv Sidhu)氏は、SCOSの特徴をマーケットやサプライ状況をリアルタイム把握できる点だとし、「いままでの製品では、1週間後の需要予測しかできなかったが、SCOSでは毎日の修正にも対応できる。今後は、『このような刻々と変わるSCMの変化にいかに対応できるか』が重要になるだろう」と説明した。

 NECは当初自社内でSCOSを運用し、ノウハウを蓄積。SCM事業では、今後3年間で200社の顧客獲得を目指すとしている。

(編集局 大津心)

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NECの発表資料
i2テクノロジーズジャパン

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