PDCAをもっと高速、もっと横断的に、i2
2004/9/22
米i2テクノロジーズ グレーター・アジア・パシフィック地域社長 ハイテン・バリア(Hiten Varia)氏は9月21日、日本・アジアの顧客に対して企業内のさまざまな部門のビジネス計画を調整し、ビジネスのPDCA(Plan[計画]、Do[実行]、Check[評価]、Act[改善])サイクルを迅速化させる新しいコンセプト「Fast S&OP」(Fast Sales and Operations Planning)を適用すると発表した。i2のSCM製品を組み合わせてFast S&OPを実現する考えで、バリア氏は「すでに家電や小売などの日本企業から引き合いがある」と明かした。
米i2テクノロジーズ グレーター・アジア・パシフィック地域社長 ハイテン・バリア氏 |
バリア氏は企業のサプライチェーンについて「従来は需給予測の正確性を追求する企業が多かった」と説明。しかし、市場環境や顧客ニーズの変化、販路の複雑化などで「予測ができることは限りがある。予測はすべて的中することはない。変化に対する迅速な対応が企業に求められる」と指摘した。そのためには企業がSCMに対するPDCAサイクルを確立し、そのPDCAを迅速に回していくことがポイントになるという。特に需給計画を立案し、いかに企業の全部門が実行していくかが鍵になるとバリア氏は強調した。「i2は企業が計画と実行を同期させることのお手伝いに注力したい」という。
日本企業では製造部門や企画立案部門など独自のPDCAサイクルを確立しているケースが多い。そのPDCAサイクルが日本企業の製品の競争力を高めてきたといえるだろう。バリア氏も「品質管理や製造管理のPDCAサイクルは日本企業が得意としている」と述べた。だが、そのPDCAサイクルが事業部ごとに分断されていて、全社の取り組みになっていないのが問題。「日本企業は全社的なPDCAサイクルへの取り組みが遅い。もしくはPDCAサイクルを回すのが遅いといえる」(バリア氏)。
PDCAサイクルが事業部ごとに分断されているのは、各事業部のビジネス計画が半期ごと、四半期ごと、月次、週次、日次などバラバラなことが要因の1つ。バリア氏によると、PDCAサイクルを加速化し、収益力を生むにはこのバラバラのビジネス計画立案の頻度を共通化し、各事業部と企業全体のビジネス計画を同期させるのがポイントになる。「各事業部のPDCAサイクルを同期化し、双方向で情報交換できるようにする」のが理想だという。
バリア氏は「Fast S&OPは企業のサプライチェーンの中で最も付加価値が高い部分にまずは導入すべき」と説明した。具体的には在庫をどこに保管するかなどサプライチェーン全体を設計する部分に導入するのが効果的だという。多くの企業はサプライチェーン設計を半期に1度だけ見直すに過ぎないが、企業はFast S&OPを導入し、もう少し頻繁に再検討すべきというのがバリア氏の考えだ。顧客と供給側を結びつける需給計画に導入することも効果的だという。
バリア氏によると、i2の顧客の中ではデルなどがすでにFast S&OPを導入しているが、Fast S&OPの導入比率はi2の顧客全体の5%に過ぎないという。「95%の企業は精度の高い予測を作ることに注力している」のが実情だ。バリア氏は「パラダイムシフトが必要だ」と強調し、「変化に即応し、何ができるかを即決できる企業」の重要性を訴えた。
(編集局 垣内郁栄)
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