SAPは「アプリストラクチャ」を提供して差別化する
2004/12/2
SAPエクステンデット マネジメント ボードメンバーのクラウス・クレップリン氏 |
SAPジャパンは11月30日から12月2日の3日間、東京・目黒雅叙園において開発者向けカンファレンス「SAP TechEd'04」を開催している。今回は、SAP NetWeaverの開発者の1人であり、TechEdでも基調講演を行ったSAPエクステンデット マネジメント ボードメンバーのクラウス・クレップリン(Klaus Kreplin)氏に、NetWeaverについて聞いた。
まずNetWeaverの現状に関して、NetWeaverやESA(Enterprise Services Architecture)を啓もうするためのワールドツアーを世界75都市で実施したほか、東京やドイツなど世界4カ所でTechEdを開催して5万人を集めたと解説。これらの活動の結果、NetWeaverの販売状況は2004年の第3四半期には1500セットを出荷したほか、ライセンスキーの販売が増加しているという。
NetWeaverの開発は、各国のリーディングカスタマから多くのフィードバックを吸収し、行ってきたという。このフィードバックはNetWeaverのコンセプトにも影響している。同社はESAを提唱しているが、これもユーザーとの対話の中で生まれたものだ。ユーザーとの議論の中で生まれたものを、さらにアナリストと議論することで練り上げたという。これには、日本にもあるRIG(Regional Industry Group)も大きく貢献している。
これら先行ユーザーの顧客満足度については、ユーザーリファレンスが数多く公開されている事例を挙げた。NetWeaverのユーザーリファレンスは、2004年初めには0だったものが、7月には1000を超えており、さらにその内の200程度は非常に深堀りした事例紹介を行っているという。特に日本では112のユーザーリファレンスが公開されており、これらが「ユーザーが率先して自分の事例を紹介していることからも、ユーザーが満足している表れではないだろうか」(クレップリン氏)と語った。こうした状況を受け、同氏は「昨年までは、ESAやNetWeaverは次世代アーキテクチャという受け取られ方だったが、今年は十分に受け入れられている」とした。
また、エンタープライズ・システム基盤となるミドルウェア分野の方向性については、「すべての機能を内包したプラットフォームを求めるトレンドにある」と分析している。理由は、ワンポイントで機能を提供するミドルウェアをバラバラに導入するよりも、最初からほとんどの機能を内包しているパッケージ製品の方が結果的にコスト削減につながるからだという。その点で、APサーバ、データウェアハウス、ポータル、BPMなどを取り揃えたNetWeaverは、競合に対して優位にあるとした。同社はこの基盤のうえで動作する「mySAP Business Suite」「SAP xApps」などのアプリケーション群を提供していく戦略を取っているが、こうしたテクノロジプラットフォームとアプリケーションプラットフォーム(ミドルウェアとエンタープライズサービス)を融合した「アプリストラクチャ」を提供していくことが重要であり、インフラとソリューション(アプリケーション)を同時に提供する「ストロングコンビネーション」が、大きな差別化要因だと説明した。
今後の予定については、まず現在のステータスとして「今後提供していくサービスを定義しているさなかであり、この結果は2005年に発表できる」(クレップリン氏)と説明した。続いて、2006年には業界横断的なアプリケーションを実装し、2007年には業界別のソリューションをまとめて「SAP xApps」のような形態で提供していく予定だという。このほか、プロフェッショナルなエンジニアマーケットと、一般社員がセルフサービス的に使うミッドマーケット以外に、ローエンド(中小企業)にもNetWeaverを使ってもらえるように開拓していきたいと語った。
(編集局 大津心)
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