Javaコードを100%自動生成、「ウェブパフォーマ」は使えるか
2005/1/19
キヤノンソフトウェアは1月18日、要件を定義するだけでJavaのソースコードを生成できるWebアプリケーション作成ツール「Web Performer」(ウェブパフォーマ)を2月1日に発売すると発表した。キヤノンソフトでは「従来のWebアプリケーション開発と比較して開発工程を半分にできる」とアピールしている。
キヤノンソフトウェア 代表取締役社長 岡田明氏 |
キヤノンソフトウェアの代表取締役社長 岡田明氏はウェブパフォーマについて「(キヤノンソフト製品の)CANO-AIDとWeb-CADDY/Jのいいとこ取り。Web環境の基幹業務全般を扱うことができる」と述べた。
ウェブパフォーマはWebアプリケーションに必要な業務要件と実装要件をWebベースのフォーマットに入力して、リポジトリを定義する。リポジトリには、業務ロジックの制御などを定義するビジネスプロセスと、テーブル、データ項目、属性などの情報を定義してデータベースを構築するデータモデル、GUI画面に表示されるデータ項目、表示項目、アイコンボタンなどを定義する入出力I/Oがある。開発者がリポジトリを定義し、「生成」ボタンをクリックするだけで、ウェブパフォーマがJavaのソースコードを出力。Webアプリケーションとしてすぐに使い始めることができる。
キヤノンソフトウェア ウェブパフォーマ推進本部長 峰松憲二氏は「システム開発工程でプログラムコードを書く必要が一切ない。100%バグがないWebアプリケーションの開発が可能」と説明した。上流工程の設計ツールや分析ツールとウェブパフォーマを連携させることも考えていて、これらのツールが出力するデータをレポジトリに反映させられるようにするという。発表会見では社員登録のWebアプリケーションを実際に作成するデモンストレーションがあった。
ウェブパフォーマはDOA(Data Oriented Approach)の設計手法を採用。大規模なシステムでも最適なデータベース設計が可能で、キヤノンソフトでは「オブジェクト指向を修得しなくても結果的にオブジェクト指向の開発ができる」としている。また、業務要件と実装要件を分離したことで、Webアプリケーション開発後にロジックを見直したり仕様を変更した場合でも、Webアプリケーションの改変が容易だという。ただ、キヤノンソフトでは出力されたソースコードを開発者が直接、編集することは推奨しておらず、Webアプリケーションを変更する場合はリポジトリの定義を変更して、ソースコードを再生成するよう勧めている。
キヤノンソフトによると、ウェブパフォーマを使うことでWebアプリケーション開発の実装工程は、従来の手法の4分の1に短縮されるという。生成されたWebアプリケーションを実際に確認しながら開発を進めることができるため、イテレーション型のアジャイル開発手法が簡単に実践できるとキヤノンソフトはアピール。実装後に行うテストは従来の手法の3分の1に短縮できるという。キヤノンソフトが、ある企業が1人月かけて作成した教育受講申請システムをウェブパフォーマを使って作り直したケースでは、4人日で開発できたという。
ウェブパフォーマがターゲットにするのは社内の業務システム開発から基幹業務開発までと幅広い。金融、流通などシステムの改変が多い業種向けにも適しているという。ウェブパフォーマは、作成するWebアプリケーションにWebサービスに対応したインターフェイスを持たせることも可能で、アプリケーション連携にも利用できるという。
ウェブパフォーマの料金体系は、開発するアプリケーションの画面遷移に応じた従量制。画面が1つ遷移するごとに課金される仕組みとなっている。開発者の試用、評価用に50画面までの開発は無料(別に導入サポート費用は必要)。100画面までの導入基本料金(初期導入費用)は262万5000円で、別に年間使用料として157万5000円がかかる。2年目以降は年間使用料だけを支払う。
ウェブパフォーマで作成したWebアプリケーションを実行させるには、「Microsoft Windows Server 2003」とアプリケーションサーバの「IBM WebSphere 5.0」または「BEA WebLogic 8.1」、データベースの「Oracle9i/10g」「IBM DB2 UDB 8.1」が必要。ウェブパフォーマを稼働させる開発クライアントには、Windows 2000/XP、Tomcat 4.1、J2SDK 1.4が必要となる。
(@IT 垣内郁栄)
[関連リンク]
キヤノンソフトの発表資料(PDF)
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