2階層構造でアクセスレイヤの制約を打破、エクストリーム

2005/1/27

米エクストリーム ネットワークスのシニア・バイス・プレジデント フランク・カルーチ氏

 エクストリーム ネットワークスは1月26日、モジュラ型レイヤ3スイッチ「Aspen 8800」シリーズを発表した。高密度、ラインレートのギガビット/10ギガビットポートを実装し、IEEE802.3af標準準拠の10/100/1000PoE(Power Over Erthenet)機能を搭載、エッジ環境における多様な端末に対応可能なユニバーサル・ジャックを装備している。OSにはモジュラ型のオペレーティング・システム「ExtremeWare XOS」を搭載、SNMPやSSHといった各プロセスを独立したメモリ空間で実行することで、プロセスの冗長化を保つことが可能。ハードウェアそのものもモジュラ単位で構成されているため、例えば、モジュールの追加ロードをする場合でもスイッチ全体を再起動する必要がない。

 同社プロダクトマーケティング 水品巧氏によると現在のネットワーク環境に求められる要素には「音声品質のコネクティビティ」「音声品質の可用性」「包括的、強固なセキュリティ」「シンプルなマネジメント」の4つが挙げられるという。これらのニーズから導き出されるのは「改めてネットワークをデザインから再検討する必要性」だと水品氏は指摘する。既存のネットワーク環境を今すぐデザインし直すのは企業にとってコスト面、作業面において非常な負担を強いる。とはいえ、将来的な動向を考えると、拡張性の高いアーキテクチャに基づいたネットワーク環境を構築することは、ITが企業の競争力を左右する要因となってきている状況からみても、無視できない課題だ。

 同社が「Aspen 8800」をリリースするにあたって提唱するネットワーク・アーキテクチャは、シンプルな2階層構造である。ネットワーク層を「インテリジェント コア層」と「ユニファイド アクセス層」と定義し直し、前者をフラッグシップ・モデルであるコア・スイッチ製品「BlackDiamond 10K」シリーズで構成、後者を「Aspen 8800」を中心とするユニバーサル・ジャックを実装する製品群で構成することで、従来のアクセスレイヤにおけるさまざまな制限を排除することを目指した。このことは、同社による“従来のエッジ層、アグリゲーション層、コア層の基本3階層によるネットワーク構成から、エッジ層、コア層の2階層構成への移行提案”を意味している。そして、このような構成は、「Aspen 8800」シリーズのような大規模スイッチをエッジ層に適用することで可能となる。
 
  「Aspen8800」シリーズは10スロットの「Aspen 8810」と6ポートの「Aspen 8806」の2つのモデルがある。最初にリリースするのは「Aspen8810」。シャーシ、電源、マネジメント・スイッチ・モジュール(MSM)の最小構成で554万円からである。

 「Aspen 8800」シリーズの適用例としては、高パフォーマンスが求められるHPCC(High Performance Cluster Computing)での使用や、中規模ネットワークの多目的スイッチといった一般的な用途、アグリゲーション・レイヤで使用し、高度な冗長性を確保するといったシーンが想定される。現時点では、キャリアやISPのデータセンターなどでの用途は含まれていない。ただし、米エクストリーム ネットワークスのシニア・バイス・プレジデント フランク・カルーチ(Frank Carlucci)氏によると「ISPへの適用については、市場の動向をみながら検討していく」という。カルーチ氏はISPにおけるネットワーク・サービスを、メトロ・ネットワーク(MAN)のような異なるネットワークをまたいで接続する“コネクティビティ・サービス”と“インターネット接続サービス”の大きく2つに分類する。この場合、前者のケースについては「Aspen8800」シリーズを適用した「2階層ネットワーク・アーキテクチャは有効かもしれない」とコメントした。

(@IT 谷古宇浩司)

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