夢は情報家電に携帯電話、エアゴーネットワークス設立

2005/2/17

 米Airgo Networksは2月16日、日本法人エアゴーネットワークスを設立したと発表した。同社取締役社長にはロバート・ディマルティーノ(Robert De Martino)氏が就任。国内パートナーとの連携を強化するほか、MIMO(Multi-Input Multi-Output)技術に準拠したチップセットを出荷する予定だ。

エアゴーネットワークス取締役社長
ロバート・ディマルティーノ氏

 MIMO技術とは、データを並列化して複数のアンテナより送信することで、伝送容量を増大させる技術だ。受信側も複数のアンテナで並列化されたデータを受信し、それぞれのデータを直列化して元の信号に戻す。現在、エアゴーネットワークスでは送信時に2つの信号に並列化しているため、伝送容量も2倍になっているという。この技術は、米Airgo NetworksのCEOであるグレッグ・ラレイ(Greg Raleigh)博士が1996年に発表したMIMOとOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を組み合わせた「MIMO OFDM」が基礎となっている。

 日本のエアゴーネットワークスは米Airgo Networksの初の海外営業拠点であり、バッファロー、ネットギア、プラネックスなどのパートナー企業との連携を深めることが目的の1つとして挙げている。すでにバッファローはMIMO技術に準拠したモデルを発表している。エアゴーネットワークスは、MIMO技術を搭載したチップセットを販売していくほか、総務省との連携やソフトウェア、リファレンスデザインの提供を行っていく。特に松下電器産業やソニーが提供している情報家電に力を入れていく方針を示しており、「日本メーカーの情報家電にOEM提供したい」(ディマルティーノ氏)と語っている。

 一方で、米国の一部ベンダが「MIMO技術を採用した」と公表して混乱を招いている点について、エアゴーネットワークス テクノロジアプリケーションディレクタ 高木映児氏が「当社以外のベンダがMIMOといっているのは、送受信に複数のアンテナを用いる技術だ。当社のMIMO技術は『データを並列化して複数のアンテナで送信している』技術であり、根本的に異なる」と説明。同社では“本物”のMIMO技術であることを訴えるために「Airgo True MIMO」と呼んでいるという。高木氏は、実効速度45Mbpsのデモを披露。実際に10Mbpsに圧縮したMPEG-2動画を同時に4画面表示してみせた。

 ディマルティーノ氏は6月に策定予定のIEEE 802.11nに言及し、「802.11nは当社のMIMO技術をベースに高速化を図っている。つまり、802.11nが普及すればMIMOが無線LANの標準技術になる」と語り、今後の販売拡大に自信を見せた。そのほかにも、「当社は次世代携帯電話向けの技術「4G MIMO」の要件もまとめている」と述べ、次世代携帯電話向けのMIMOを18カ月後以降に開発することを明らかにした。

(@IT 大津心)

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