国内最大級のIP電話を自社に構築、NECが狙うオフィス改革
2005/3/24
NECは通信とITの融合ソリューション「UNIVERGEソリューション」の新製品として、IP電話やWeb会議、プレゼンス情報などを連携させるポータル製品「StarOffice21/コミュニケーションポータル」を発売したと3月23日に発表した。NECはIP電話をキーにしたオフィスの生産性向上のソリューションを充実させている。2005年9月末までにNEC全社にIP電話を導入し、同社が提唱する“ブロードバンドオフィス”を実現する考えで、自社をソリューション拡販のためのショーケースにすることも予定している。
NECのUNIVERGEソリューション 推進本部長 依田康男氏 |
StarOffice21/コミュニケーションポータルは、グループウェアの「StarOffice21」やWeb会議システム「コミュニケーションドア」などを統合し、ユーザーが1つのインターフェイスで利用できるようにしたポータル製品。別のユーザーの状態を確認できるプレゼンス機能を強化し、IP電話や電子メール、インスタント・メッセンジャーなど相手の状況から最適な方法で連絡を取れるようにした。Web会議システムを統合したことで、IP電話利用中に別の第3者を招待してWeb会議を始めたり、プレゼンテーションファイルを共有するなど、さまざまなコミュニケーション手段をシームレスに選べるようにした。
NECのUNIVERGEソリューション推進本部長 依田康男氏は「従来から提供しているポータル連携に加えて、プレゼンス連携、Web会議連携などの強化でサービス向上と運用コスト削減を実現した」と述べた。
モバイル連携の機能強化も進めた。無線LANとFOMAの両方が使える携帯電話「N900iL」を活用。社内の内線番号に電話をかける場合、相手が社外にいても自動的にFOMAにローミングされて電話がつながる。外出先から携帯電話を使ってWeb会議に参加することも可能。
また、無線LANのアクセスポイントと、StarOffice21/コミュニケーションポータルのプレゼンス情報が連動し、無線LANを使っているアクセスポイントの場所によって「2F 会議室B」などとプレゼンス情報がPCに表示される。依田氏によると、N900iLとIP電話、アプリケーションを連携させるソリューションは「2004年度第4四半期だけで150システムの商談があった」といい、販売に自信を見せている。
StarOffice21/コミュニケーションポータルは5月23日に出荷開始で、価格は430万円から(50ユーザー)。今後3年間で1000システムの導入を目指す。NECはStarOffice21/コミュニケーションポータルと連携できるグループウェアをStarOffice21のほかにNotesやMicrosoft Exchangeなどにも広げる。
NECは2005年9月末までにIP電話を全社に導入する計画も明らかにした。これまでも8400台を導入してきたが一気に3万台まで増やし、単独で約2万4000人の従業員がいるNEC全社をブロードバンドオフィス化する。IPセントレックスの拠点も現状の11拠点から70拠点に増大。逆にアナログ電話用のPBXは100台が30台に減る見通しだ。現在は東京・田町の本社ビルや主要拠点に限られている無線LANも全国100拠点に導入し、「国内最大級のIP電話システムを構築する」(NEC)。
導入するIP電話3万台のうち、8割に当たる2万4000台はPC上でアプリケーションを使って通話するソフトフォン。NECでは「ソフトフォンの方がアプリケーションとの連携が容易」と説明している。N900iLも現状の350台を1万台以上に増やす計画で、Web会議やプレゼンス情報と、通信インフラを連携させるユニファイドコミュニケーションの実現を目指すとしている。
(@IT 垣内郁栄)
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