リビングのすべての家電機能が携帯電話に入る、TI

2005/3/30

 「2015年には10億人以上が第三世代(3G)の携帯電話を利用しているだろう。その市場をリードするのは、日本だ」。こう予測したのは、来日中の米テキサス・インスツルメンツ(以下、TI) ワールドワイド・ワイヤレス・ターミナルズ製品部門 上席副社長ジル・デルファシー(Gilles Delfassy)氏だ。同社は3月29日に報道関係者向けの発表会を開催し、3G携帯電話に関する同社のコミットメントやロードマップを明らかにした。

米テキサス・インスツルメンツ ワールドワイド・ワイヤレス・ターミナルズ製品部門 上席副社長ジル・デルファシー氏
  TIはアプリケーション・プロセッサ「OMAP」を開発している。OMAPは、NTTドコモのFOMA端末である「901iシリーズ」や「700iシリーズ」に搭載されており、デルファシー氏によると「NTTドコモのすべてのFOMA端末に搭載されている」という。そのほか、同社は2004年7月に、NTTドコモとOMAPを搭載したUMTS(GSMとW-CDMAのデュアルモード)対応のシングルチップ開発で提携しており、「今後もNTTドコモとの連携を進めていく」(デルファシー氏)と説明した。

 同社によると日本を中心として3G市場は急増しており、同社のワイヤレス事業は2004年には5億ドル伸び、アプリケーション・プロセッサ市場の50%以上のシェアを獲得しているとしている。同社は3Gの普及を促進するために新プロセッサ「OMAP-Vox」を開発。90/65nmプロセスとデジタルRFプロセッサ(DRP)技術を活用し、低価格を実現したという。また、2.5Gのアプリケーション・ソフトウェアを3Gへ容易に移行できるため、3Gへの容易な移行を手助けするとしている。

日本テキサス・インスツルメンツ ワイヤレス・ターミナルズ製品事業部 事業部長 水上修平氏
 OMAP-Voxシリーズのミッドエンド版となる「OMAPV1030」EDGEチップセットはすでにサンプル出荷を開始しており、2005年中には製品化する予定。さらにコストを抑えた「次世代OMAP-Vox3Gソリューション」や、ローエンド向け「次世代OMAP-Vox3Gシングルチップ携帯電話」を開発予定だ。デルファシー氏は「今後はミドルレンジやローエンド向けのシェアが上がっていくのではないか」と予測している。さらに同社では、デジタルTVの受信を、従来の3チップから1チップに統合した「ハリウッド(Hollywood)」や3DゲームやHi-Fiオーディオの機能を実現する「OMAP2」プロセッサも開発している。

 ミッドレンジクラスには、NTTドコモと共同開発しているUMTS対応チップも含まれる。これらを踏まえて、日本テキサス・インスツルメンツ ワイヤレス・ターミナルズ製品事業部 事業部長 水上修平氏は「今後のTIのチップセットでは、リビングにおいてあるすべての家電の機能を携帯電話に搭載したい」と抱負を語った。また、開発中の「ハリウッド(Hollywood)」に期待を示し、「日本でも本格的にデジタルTV放送が始まる。それにあわせて業界初の携帯電話向けデジタルTVシングルチップを2006年にサンプル出荷、後半にリリースしたい。この分野でも日本は世界を先行すると考えている」と語った。

(@IT 大津心)

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日本テキサス・インスツルメンツ報道発表資料

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