MSが64bit版Windows Serverを発表、企業の64bit化を後押し

2005/5/17

 マイクロソフトは、64bit拡張技術のAMD64とIntel EM64Tに対応する新型OS「Windows Server 2003 x64 Editions」(x64 Editions)を6月1日に出荷すると5月16日に発表した。32bitと64bitの両方のアプリケーションを稼働させられるOSで、パフォーマンスの向上が期待できる。価格は現行の32bit版Windows Server 2003と同じ。マイクロソフトでは2005年中には、32bit版Windows Server 2003とx64 Editionsが同程度の出荷比率になるとみている。

 出荷するのはWindows Server 2003の「Datacenter x64 Edition」(64CPU、1TBメモリに対応)と、「Enterprise x64 Edition」(8CPU、1TBメモリ)、「Standard x64 Edition」(4CPU、32GBメモリ)。パッケージ、Open、Select、OEM、DSPの各ライセンスで提供する。

 x64 Editionsの特徴は広いメモリ空間を利用して、パフォーマンスが期待できることだ。マイクロソフトによると、32bit版Windows Server 2003と比較してx64 Editionsでは、ターミナルサービスのユーザー数が170%増加した。米マイクロソフトのWindows Server ディビジョン ゼネラル・マネージャ クリス・フィリップス氏は「ほとんどメモリの制約がない」と説明。「1年半後には64bit対応以外のサーバを見つけることは難しくなるだろう」と述べて、x64 Editionsの投入で企業システムの64bit環境への移行が進むとの認識を示した。

マイクロソフトの業務執行役員 サーバー プラットフォーム ビジネス本部長 鈴木和洋氏

 マイクロソフトは既存の32bit版Windows Server 2003を利用するユーザーの64bit化を進めるために、サーバのOEMパートナーと協力し、低価格で同じエディションのx64 Editionsを提供する「Technology Advancement Program」を6月1日に開始する。AMD64、Intel EM64T対応で、32bit版Windows Server 2003がプレインストールされたサーバを使っているユーザーが対象。手数料程度の比較的小額な価格でOSをx64 Editionsに変更することができる。インストールなどベンダによっては別の料金が必要になるが、マイクロソフトは「これで儲けようとは思っていない」としていて、x64 Editionsの普及を優先する考えだ。

 また、マイクロソフトはx64 Editionsの先行導入としてNECと共同で、名古屋銀行の「次期統合顧客情報データベース」を受注したと同日に発表した。今年中の提供が予定されているマイクロソフトの次期データベース「SQL Server 2005」とx64 Editionsを組み合わせて、CRMやSFAなどの顧客情報を管理するデータベースシステムを開発する。

 64bit拡張機能を持つプロセッサやOSの選択でポイントになるのは、インテルのItaniumなど既存の64bitプロセッサとの住み分けだ。マイクロソフトの業務執行役員 サーバー プラットフォーム ビジネス本部長 鈴木和洋氏は「Itaniumはメインフレームからのマイグレーションなど特定のアプリケーションで利用される」と説明したうえで「通常の業務はx64 Editionsでサポートできる」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
マイクロソフトの発表資料
NECの発表資料(名古屋銀行導入)

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