価格.comに対抗? Yahoo!商品検索は検索技術が売り
2005/5/28
ヤフーは、インターネット上の多数のショッピングサイトの商品を検索して価格を比較することができるサービス「Yahoo!商品検索」のベータ版サービスを、2005年2月からYahoo! JAPANで提供している。商品の価格を比較できるWebサイトは不正アクセスで一時閉鎖されていた「価格.com」などが先行。ヤフーは検索技術を武器にサービスの拡大を目指す。
ヤフーのリスティング事業部 検索企画室 七里康敏氏 |
Yahoo!商品検索の検索対象はYahoo!ショッピングのWebサイトと外部のショッピングサイト。Yahoo! JAPANのカテゴリに登録されているショッピングサイトであれば、ヤフー側に登録する商品を通知するだけで、商品検索の対象になる。ベータ版では商品の登録は無料。Yahoo!の検索エンジンがネットをクロールして集めた商品情報も検索対象にする。ヤフーのリスティング事業部 検索企画室 七里康敏氏は「あらゆるショッピングサイトの情報を集める。すでに1000万以上の商品情報を検索できる」と説明した。
先行する価格比較サイトに追いつくため、ヤフーが売りにしたいのが検索技術だ。1つは「関連検索キーワード」の表示。「デジカメ」などの単語で検索すると、「デジカメ 一眼レフ」など関連するキーワードが検索結果に表示される。ユーザーは何度も検索を繰り返すことなく、目的の商品を探すことができる。関連検索キーワードは検索ログから自動抽出して表示する仕組み。キーワードを抽出して不適切な用語をフィルタリングで排除し、表示する。
七里氏はYahoo!商品検索の検索エンジンについて、「Yahoo! JAPANの検索ロジックのノウハウを活用し、パラメータの一部を応用している」と説明した。Yahoo!商品検索の検索結果画面の表示についても「商品とキーワードの一致度、クリック数など多くの指標に応じて掲載の順序を決めている」とした。
ヤフーが検索技術を活用する背景には、幅広い層のユーザーを獲得したいという狙いがある。ヤフーによると、Yahoo!商品検索で検索されるキーワードは、ほかの価格比較サイトで多いと考えられるデジタル関連の用語のほか、「αリポ酸」「父の日」「ホームベーカリー」「ゴルフクラブ」など一般商品が多くを占める。それだけYahoo! JAPANのユーザー層が広がっている証拠だが、これらの多様なユーザーに使ってもらうには、きめ細やかな検索サービスの提供が鍵になるというのがヤフーの考えだ。七里氏は、ほかの価格サイトが提供している利用者からの商品レビューやブログとの連携も検討するとしたが、「ツールとしての使い勝手をよくする方向に力を入れたい」とも述べ、検索技術を生かして幅広いユーザーに利用されるサービスに仕上げる考えを示した。
ヤフーはYahoo!商品検索だけで収益を上げる考えはないようだ。Yahoo!カテゴリに登録しているショッピングサイトであれば、商品の登録は現状は無料。ほかの価格比較サイトのように出品、出店料を支払う必要がない。七里氏は、Yahoo!商品検索の目的について「検索トラフィックの向上」と説明した。トラフィックを集めて固定のユーザーを獲得し、その後に別のサービスとの連携を図る狙いがある。そのため、「ほかのWebサイトにはない機能やデジタル以外の商品を充実させて、ユーザーを獲得する」(七里氏)としている。
(@IT 垣内郁栄)
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