オープンソースに安易に飛びつくな、Spring開発者が警告
2005/6/23
「J2EE開発者は、“オープンソース”だからといって、飛びついてはならない。コミュニティの質や将来を見極めることが重要だ」。J2EE開発のトレンドとして注目される軽量コンテナ「Spring Framework」開発者で、Interface21のCEO ロッド・ジョンソン(Rod Johnson)氏は、IDGジャパン主催の「Java World Day」で講演し、日本のJ2EE開発者にメッセージを送った。
Springの開発者、ロッド・ジョンソン氏 |
ジョンソン氏は、J2EE開発者にとって「利用できるオープンソースのオブジェクト指向言語が多様なのは健全なステータスである」としながらも、JCP(Java Community Process)によって標準化された仕様に飛びついて失敗を重ねることが多いエンジニアに警告した。
ジョンソン氏は、オープンソースは無料というだけで開発者が恩恵を受けるものであると誤解されていると指摘。オープンソース技術を見極める方法として、コミュニティがフィードバックや経験の集合体として機能しているか、仕様をすべて開示しているか、デバッグが容易かなどの項目を挙げて、開発者が判断することの重要性を強調した。
開発者が技術を見極められずに利用してきたケースとして、ジョンソン氏はEJBのコンポーネント「Entity Beans」と「Toplink」を説明した。1990年代後半に起きたJ2EEのデータ・アクセス技術である両者の競争では、標準化技術であるEntity Beansが勝利した。だが、Entity Beansは実装段階で問題が多発し、開発の失敗を招いた例が多くあったとし、「標準化技術だからといって、安心して使える技術とは限らないことを証明するケースだ」(ジョンソン氏)と述べている。
「アジャイルプロセスを用いたJ2EE開発は、2年前は.NETに取って代わられると脅かされたが、ベストプラクティスの積み上げにより大企業でも多く用いられるようになった。今後さらにJ2EE開発が革新するには、まだ標準化に至っていないSpringなどの『DI』(軽量コンテナ)や AspectJなどの『AOP』(アスペクト指向プログラミング)、O/Rマッピングなどの『アジャイルメソッド』が革新のキーワードとなるだろう」と述べた。
(@IT 富嶋典子)
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