人とドキュメント中心のBPMを実現、アドビが新製品発表へ

2005/7/6

 アドビシステムズは7月5日、既存のインテリジェントドキュメント製品の各機能をコンポーネント化して、業務のワークフローを柔軟に構築することができるビジネスプロセスマネジメント(BPM)製品「Adobe LiveCycle Workflow」を近日中に発表することを明らかにした。PDFに対してさまざまな機能を持たせることができる既存のドキュメントサービスと、人の介在や役割までコンポーネントとして扱えるのが特徴。アドビでは今後展開する業種別ソリューションの核にする考えだ。

米アドビシステムズのインテリジェント ドキュメント ビジネスユニット プロダクトマーケティング担当バイスプレジデント ユージーン リー氏。マクロメディアとの合併については「ぼくは何も知らないんだよね」

 Adobe LiveCycle Workflowで実現する新しいBPM基盤「プロセスマネジメントソリューション」は、アドビのインテリジェントドキュメント製品「Adobe LiveCycle」から各機能やサービスを抽出してコンポーネント化。GUIベースのワークフローツールでコンポーネントを組み合わせてプロセスを設定できるようにする。SOAの考えをビジネスプロセスに展開する内容ともいえる。

 GUIツールでは、ERPなどほかのシステムもWebサービスでコールしてプロセスに組み込むことができる。コンポーネントの再利用も可能。それぞれのコンポーネントに対して、承認者の設定などのビジネスルールを組み込むことができる。

 米アドビシステムズのインテリジェント ドキュメント ビジネスユニット プロダクトマーケティング担当バイスプレジデント ユージーン リー(Eugene Lee)氏は、「フォーカスしたいのは、インテリジェントドキュメントを介することで人とプロセスの連携をよくすること」と述べた。「これまでのドキュメントは見せるだけだったが、インテリジェントドキュメントは、ドキュメントにビジネスロジックを埋め込むことができ、SOAの基盤に載せられる」(リー氏)。

 また、アドビのマーケティング本部 エンタープライズマーケティング部 部長 小島英揮氏は、Adobe LiveCycle Workflowについて、「人とドキュメントのプロセスを既存のシステムの中で統合できる。ほとんどの仕事が人とドキュメントで行われていることを考えると、人、ドキュメントの視点がないと本当のプロセスマネジメントはできない」と述べた。

 Adobe LiveCycle Workflowでは、プロセスをモニタリングして、ボトルネックを解消、最適化するBAM(ビジネス・アクティビティ・モニタリング)の機能も提供される。プロセスの設計、統合、展開、管理、最適化とライフサイクル全体をカバーする基盤になる。

 アドビは官公庁や金融、製造など業種別のソリューション提案を今後強める。これまではPDF生成、セキュリティ機能の付与、情報漏えい対策など、幅広い業種に対応した水平的なソリューション展開が中心だった。しかし、インテリジェントドキュメント事業を拡大するために「人が介在する業種ごとのソリューションにフォーカスする」(小島氏)。特に組織内の業務を効率化する分野に力を入れる考えで、そのためには「プロセスマネジメントが必要になる」(小島氏)と判断した。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
アドビシステムズ

[関連記事]
アドビが考えるPDFと「ドキュメントフォーカスのWebサービス」 (@ITNews)
PDFのアクセス権を「後だしジャンケン」で変更、アドビ新製品 (@ITNews)
起動でイライラしない? 高速化したAdobe Reader 7.0 (@ITNews)
BPM、内部統制、そしてCIOの役割をつなぐものとは? (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)