“第4のメディアを目指す”オンライン雑誌が創刊

2005/10/1

 ソフトバンク・メディア・アンド・マーケティング(10月1日よりソフトバンク クリエイティブに社名変更)とアクセス・パブリッシングは9月30日、無償のオンライン雑誌「Manyo-万葉-」を創刊した。ソフトバンク・メディア・アンド・マーケティング 代表取締役社長 岡崎眞氏は、「Manyoは新しい表現形式を持ったメディアだ。オンラインメディアと紙媒体の良いところを組み合わせた表現を実現できる。また、動画の挿入や全面広告など新しいインターネット広告商品が登場するだろう」とコメントしている。

ソフトバンク・メディア・アンド・マーケティング 代表取締役社長 岡崎眞氏
 Manyoは次世代電子ブック「FlipBook」を利用した無料のオンライン雑誌。閲覧には、FlipBook専用の閲覧ソフト「FlipViewer」を用いる。紙の雑誌と同じようにページをめくりながら読むことができるほか、閲覧中に音楽を流すことやFlashを用いた動画もページ内に埋め込むことができる点が特徴だ。

 コンテンツはすべてサーバ上に保管されており、ユーザーがコンテンツをサーバからダウンロードしてPC上に保存することはできない。コンテンツを読むときには、ユーザーはFlipViewerを使って数ページ単位でサーバからコンテンツを一時的にPC上にキャッシュして閲覧する仕組みだ。また、独自のDRM技術を取り入れており、画面キャプチャを撮ることもできなくなっている。このような強固な著作権保護技術を備えることで「これまでインターネット上では扱いにくかったタレント写真なども掲載できるようになる」(岡崎氏)としている。

 Manyoでは30代から40代の男性をメインターゲットに旅や食、ファッション、し好品や四季を感じることができる写真、有名作家の作品などを掲載していく。具体的には、「季節を感じる食と空間」「大人の着こなし」「こだわりの嗜好アイテム」「大切な人との旅」などを対象読者にレコメンドしていくという。創刊号では特別企画として歌手の鈴木雅之氏や大友康平氏のインタビューが動画付きで掲載されている。Manyo製作者のアクセス・パブリッシング 取締役副社長 平澤和夫氏は、「基本的に月刊誌だが、筆者によっては毎週更新もあり得る。新作だけでなく、過去他媒体などに掲載された作品を再掲載し、もう1度ブームを呼び起こすような取り組みも行っていく」と語り、Manyoの方向性を示した。

「Manyo-万葉-」の画面イメージ。雑誌のようにめくることができるほか、そのページに合った独自の音楽が流れる仕組みになっている
 掲載される広告は、通常の雑誌のような2ページ見開きのFlash画像がメインとなるが、一部に動画を埋め込んで再生することも可能。さらに詳細な情報はリンクでベンダのWebサイトへ飛ばすこともできる。このことから、岡崎氏は「一般的なWebサイトのバナーは面積や表現の制約があり、テレビ広告と比較して商品イメージを十分伝えることができなかった。しかし、FlipBookでは音声や映像といった紙雑誌の広告では不可能だったインパクトの強い広告表現ができる」と語っているほか、平澤氏は「雑誌のようにめくることによって自然と広告が目に入るプル形式と、音や映像を使ったTVのようなプッシュ形式、さらにベンダのWebサイトへ誘導しやすいアクセス性の3つの要素を持った広告となっている。既存メディアの広告の良いところを含んだ“良いとこ取りの広告”ともいえるだろう」とFlipBookの広告の優位性を強調した。

 今後のFlipBookに関する取り組みでは、10月上旬からYahoo!のWebサイト上で「FlipBook特集」を実施し、30冊程度の青空文庫や写真集などを無償で公開する予定だ。そのほか、紙雑誌やブログ、Yahoo! BBなどからも誘導を行っていき、普及拡大を目指す。

(@IT 大津心)

[関連リンク]
Manyo-万葉-
ソフトバンク・メディア・アンド・マーケティングの発表資料

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