ハードウェアの限界まで追加料金なしのSSL-VPN

2005/11/1

 米ソニックウォールは10月31日、中小企業向けのSSL-VPNアプライアンス「SSL-VPN2000」日本語版の出荷を12月下旬より開始すると発表した。この製品の特徴は、無制限のユーザーライセンスが付与されており、「ハードウェアスペックの限界まで」(米ソニックウォール 日本オフィス システムエンジニアリングマネージャ 寺前滋人氏)追加ライセンスなしで利用できる点だ。

米ソニックウォール 日本オフィス カントリーダイレクタ 内山高夫氏
 ソニックウォールは、使いやすさと高いコストパフォーマンスをウリに中堅企業向けのセキュリティアプライアンスを中心に提供しているセキュリティベンダ。昨今では、ファイアウォールや侵入検知、ウイルス対策などを1つの筐体に収める「UTM(Unified Threat Management)」を提唱している。

 SSL-VPN2000は、SSL-VPNに特化したアプライアンス製品。最大の特徴は、製品価格の54万8000円に無制限のユーザーライセンスが含まれており、何人で利用しても追加ライセンスが必要ない点だ。また、初年度の8時間×週5日のサポートも無料。寺前氏によると、「おおよそ1000人規模の中堅企業までなら問題なく利用できるはずだ。ヘビーユーザーの場合で同時接続数50人まで、通常だと同時接続数100人までなら問題なく利用可能となっている。それ以上であっても、ソフトウェアではなんの制限もしていないので、ハードウェア性能の限界まで利用できる」と説明した。

 SSL-VPN2000は、すべてのTCP/IPベースのアプリケーションを利用可能にするいわゆるトンネルモードの「SonicWALL NetExtender」と、HTTPプロクシを利用してWebベースのアプリケーションを利用可能にする「標準Webブラウザ」、JavaアプレットやActiveXを利用してFTPやSSHなどの利用ができる「JavaシンクライアントまたはActiveX」の3種類のユーザーアクセス方式を提供する。また、他社ファイアウォールと併用することも可能だ。

 ただし、SSL-VPN2000はSSL-VPNのトラフィックを処理するだけで、ウイルス対策やスパイウェア対策機能などを搭載していないため、UTMを有したソニックウォール製品との併用を同社は推奨している。米ソニックウォール 日本オフィス カントリーダイレクタ 内山高夫氏は、「IPsecとは異なりクライアントアプリケーションを必要としないほか、HTTPのみやActiveXのみといったアクセス制限も可能なため、自宅からのアクセスや社外パートナーがアクセスする際に有効だ」と語った。

 また内山氏は、「大企業では1つの機能につき、1〜複数のアプライアンスを購入・管理できるが、中堅企業ではコスト的に難しい。また、アプライアンス自体の値段が安くてもユーザーライセンスが高く、100名使用時に値段が数倍に跳ね上がってしまうケースも多い。このようなユーザーの声を反映したのがSSL-VPN2000だ」と説明。「現在、IPsecの売上高が2730万ドル、SSL-VPNが670万ドルといわれている。今回のような安価なSSL-VPNアプライアンスによってSSL-VPN市場を活性化させたい。また、政府はe-JAPAN戦略2の中で2010年までに就業人口の約20%をテレワークにするという目標を立てている。テレワークで働くためには、リモートセキュリティが必須だ。安価なSSL-VPNアプライアンスを提供することで、eJAPAN戦略にも貢献したい」と語り、今後の抱負を示した。

(@IT 大津心)

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