シスコが首位、国内セキュリティアプライアンス市場

2003/5/7

 IDC Japanは2002年の国内セキュリティアプライアンス市場の出荷金額が183億円になったとの調査結果を発表した。設定、運用が容易なことから専任の担当者がいない中小企業や地方自治体を中心に売り上げを伸ばしているという。

 セキュリティアプライアンスは、セキュリティ対策に特化したアプライアンスで、事前にシステム設定などが行われているため、導入や運用が容易なのが特徴。IDCでは「アプライアンスサーバの中で、今後最も成長が見込まれる」としている。

 IDCによると2002年のセキュリティアプライアンス市場の売り上げ規模は183億円。機能別では、出荷金額の96.1%がファイアウォール/VPNアプライアンスで、市場のほとんどを占めている。不正侵入検知(IDS)アプライアンスは2.6%にすぎない。ただしIDCの調査では、ファイアウォール/VPNとIDS機能を併せ持つアプライアンスは、ファイアウォール/VPNアプライアンスとして集計している。
 
 ベンダ別では、シスコシステムズがトップ。出荷金額ベースで21.9%のシェアを獲得している。ノキアとネットスクリーンが18.9%で2位。次いでソニックウォールが10.5%、ウォッチガードが4.9%となっている。IDC Japanサーバー リサーチアナリストの石井昌英氏は、「シスコはネットワークのトータルソリューションベンダとしてセキュリティアプライアンスをネットワークの構成要素の1つとして提供できることが強み」と説明。ノキアはチェックポイントのソフトが好評で、中、大規模ユーザーに強みがあり、ネットスクリーンは低価格製品が好調だという。その中でも「ASICベースで、価格が安く、スループットが高速なネットスクリーン製品が伸びている。今後、シスコを脅かすこともあるかもしれない」という。

 石井氏は、「今後は、大企業の部門ネットワークや中小企業、家庭といった新規市場を巡って小、中規模向けの製品分野で激しい競争が繰り広げられるだろう」と予測。IDCではセキュリティアプライアンスは、2003年以降に7%の平均年間成長率で市場を拡大し、2007年には256億円の市場規模になるとみている。

(垣内郁栄)

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IDC Japan

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