技術者のためのSNS、会費300円で日刊工業新聞社が開設

2005/11/22

日刊工業新聞社 編集局電子メディア事業室 室長 水野洋氏

 日刊工業新聞社とジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)、ホットリンクの3社は11月21日、研究者・技術者向けのWebコミュニティを開設すると発表した。このWebコミュニティは、ブログとソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を混ぜ合わせた形式を採用、企業の経営者や技術者、大学・公的研究機関の研究者を会員として、専門知識を循環させる仕組みを構築する。会員からは月額300円の会員費を徴収する。

 名称は「てくてくjp」で、2006年2月にサービスを開始する。国内の自然科学系研究者57万人、技術者250万人を対象とする。ブログを通じてオープンな情報交換を促進すると同時に、非オープンなSNSによって人脈の拡大や技術開発の支援を促す。日刊工業新聞社 編集局電子メディア事業室 室長 水野洋氏は、会員数の見込みについて、「初年度1万〜1万5000人」を目標とする。2年後には5万人の会員を獲得、この時点で黒字転換を予定している。

 基本的な収益構造は月額300円の会費とバナー広告で構成される。水野氏は1万人の会員を集めることで、初年度約4000万円(3600万円を会費、そのほかを広告費)と見込み、2年後は5万人の会員数獲得によって2億円の売り上げを予定する。しかし、会費に依存する収益構造は、今回のような専門的なコミュニティ運営においてはなかなかスケールしにくい。このため、日刊工業新聞社は、JDC信託の協力のもと同サイトを運営するための新会社を設立し、ベンチャーキャピタルの参加によるインキュベーションビジネスを将来的な収益構造に盛り込むことで、会費・広告以外の収益の柱を模索する模様だ。

 とはいえ、まずは立ち上がったばかりのコミュニティをどのように活性化させるかが課題だ。日刊工業新聞社は全国に点在する記者約200人をコメンテータとしてコミュニティに参加させたり、ジャンル別に30人程度の大学教授を中心としたコメンテータを用意するなど、コミュニティに刺激を与える仕掛けを用意している。

(@IT 谷古宇浩司)

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