IPA、2006年はオープンソースに注力?
2006/1/21
情報処理推進機構(IPA)は1月20日、報道関係者向けの説明会を開催し、2005年下期の事業説明と2006年の方針などを説明した。2006年1月1日にオープンソースソフトウェア・センター(OSSセンター)を開設するなど、今後さらにオープンソースへの各種取り組みに力を入れていくという。
IPA 理事長 藤原武平太氏 |
OSSセンターは、オープンソースが持つ「人の知恵と技術を結集できる」というメリットを生かし、「自己責任による不安感」といったデメリットを払しょくすることを目的とし、オープンソースの活用や普及を目指す。具体的には、国内外の各種団体との連携や、技術的不足部分の拡充、情報の集約や啓蒙、各種制度の検討などを行う。
初年度には、評価ツールの整備・提供といった“基盤整備”や、OSSデータベースである「OSS iPedia」の公開といった“情報の集約・発信”、オープンソース普及の阻害要因を洗い出し、解決策を検討する“OSSの普及促進”といった活動を行う予定だ。
検討中の事業としては、開発支援やテストツール開発、実証実験などが挙げられている。特に、OSS iPediaでは、評価データや導入事例情報、オープンソース用語集といったオープンソース関連のデータベースを構築し、公開するというもの。現在、3月末の完成へ向けて製作中だという。藤原氏は、「OSSセンターは、民間の日本OSS推進フォーラムから『常にOSSを考える組織を作ってほしい』という要望に応えて設立した。今後この分野にも注力していきたい」と語った。
ソフトウェア開発支援事業では、2006年度(上期)のソフトウェア開発支援事業の公募を1月27日に開始する。公募を開始するに当たり、全国9個所で説明会を実施するという。上期の公募対象事業は、OSSセンターが主導で行う「オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業」や、「次世代ソフトウェア開発事業」「中小ITベンチャー支援事業」「未踏ソフトウェア創造事業」「そのほか(関連事業)」の5事業。これらに対する、年間予算はおおよそ10億円〜12億円だという。
情報処理技術者試験では、中国やタイ、フィリピンなどアジア各国との相互認証および統一共通試験を実施する。これは、中国やインド、韓国などアジア10カ国と日本との間で、情報処理技術者試験の相互認証や統一共通試験を行い、アジア内で共通ブランド化させ、人材流通を促進させようというものだ。2006年4月2日には、日本を含めた11カ国で同時に同じ試験を実施するという。今後は、各国が独自の試験問題を作成できるように、試験問題作成のノウハウをIPAの支援の下、伝授していくとした。
そのほか、ITスキル標準は現在バージョン2.0を3月までに策定するべく、鋭意作業中だという。バージョン2.0では、研修時や認定時のガイドラインなども取り入れている。セキュリティ関連では、2005年12月に大量発生した「Sober」が1カ月間で1300万以上検出された点を警告。「ただし、日本ではファイアウォール対策がしっかりしていたためか、欧州や米国と比べて被害が少なかったようだ」(藤原氏)と説明した。
藤原氏は、「OSSセンター設立で、人材のスクラップ&ビルドや予算振り分けの変更などを行った。2006年はメインのセキュリティ事業と、オープンソース分野、ソフトウェア開発支援、SECに力を入れていきたい」と語った。
(@IT 大津心)
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情報処理推進機構(IPA)
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