AppExchangeはWindowsのようなもの〜セールスフォース

2006/1/27

 セールスフォース・ドットコムは、アプリケーションプラットフォーム「AppExchange」とCRMソリューション「Winter '06」を1月24日に発表した。今回はサービスの詳細について、米セールスフォース・ドットコム AppExchange ディレクター デービッド・ブルックス(David Brooks)氏に聞いた。

米セールスフォース・ドットコム AppExchange ディレクター デービッド・ブルックス氏
 セールスフォースは、2005年9月に新しいプラットフォーム「AppExchange」を発表。AppExchangeでは、パートナー企業などセールスフォース以外の企業が開発したSalesforce.com向けのアプリケーションやプラグインなどを、無料/有料で提供することができる。すでにワールドワイドで160種類、日本でも20種類以上のアプリケーションが公開されている。

 現在、米国で登録されているアプリケーションを見ると、営業関連のアプリケーションである「SALES」が74種類、サポート関連の「SERVICE&SUPPORT」が26種類、人事関連の「HUMAN RESOURCES」が15種類、会計分野の「FINANCE&ADMINISTRATION」が30種類となっており、営業関連が多いものの多分野のアプリケーションが提供されていることが分かる。

 例えば、「COMPONENTS」にある「Account Research」というアプリケーションは、自分のSalesforce.comのアカウントにインストールすると、ある顧客との商談に関係している取引先をクリックするだけで一覧表示できるというものだ。ブルックス氏は、「このような機能はアプリケーションというよりプラグインに近く、気軽に使えるものだ。AppExchangeで公開されているアプリケーション群は、機能を強化するというよりも補助するものが多い。例としては、AppExchangeはWindowsのようなOSで、Salesforce.comはOfficeのようなアプリケーション、AppExchangeで公開されているアプリケーションはOffice製品などに追加するプラグインのようなものだ」と説明した。

 また、AppExchangeでアプリケーションを公開したいパートナー企業やベンダ向けの支援としては、「オンライントレーニングやサンプルプログラムなどを提供していく予定だ。また、マイクロソフトデベロッパーネットワーク(MSDN)のようなものを作っていきたい」(ブルックス氏)との考えを示した。

Winter '06のテリトリー管理機能の利用例。この例では顧客を売上高別で色分けし、GoogleMaps上で表示している
  一方、Winter '06で新しくなった点について、ブルックス氏は「ページの表示が早くなった点が特徴だ」と説明。Winter '06では、ユーザーインターフェイスをリニューアルし、新たにスタイルシートを用いた画面構成に変更し、表示速度の高速化を図ったという。また、売上予測のカスタマイズがしやすくなった。従来は会社全体の売上予測しかできなかったが、部署単位での予測が可能になったという。

 新機能であるテリトリー管理では、顧客データを地域や売上などさまざまな指標と分類できる。その分類したデータを、Google Mapsを利用して地図上で色分けして表示し、視覚的に見やすく表示することも可能だ。

 最後にブルックス氏は同社の今後の方向性を、「まずセールスフォースは、基本機能であるSFAやCRMの機能を強化していく。さらに、当社やパートナー企業がAppExchangeにさまざまな機能を追加していくことでSalesforce.comの用途が広がり、結果として利用ユーザーが増えることが当社の利益につながる」と説明。「例えば、AppExchangeに優れた人事向けのアプリケーションが追加されれば、いままでSFAとCRMとしてしかSalesforce.comを利用していなかった会社が、人事部門でも利用するようになるかもしれない。そうすれば、利用ユーザー数が増えて当社の収入が増えるだろう」といった例を出して解説した。

(@IT 大津心)

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