建物の図面がソフトウェア開発にも必要だ

2006/2/23

 永和システムマネジメントと豆蔵は2月22日、企業やシステム開発プロジェクトの“見える化”を支援する企業として「チェンジビジョン」を設立したと発表した。代表取締役社長には、永和システムマネジメント副社長の平鍋健児氏が就任し、モデリングツール「JUDE」や可視化ツール「TRICHORD」の販売を中心に行っていく。

チェンジビジョンの代表取締役社長に就任した平鍋健児氏。手に持っているのは新会社のロゴだ
 平鍋氏は、新会社のビジョンを「変化を受け入れて、進化していく会社。社名には、ユーザーも変わってほしいし、自分たちも変わっていくという意思表明が含まれている」と説明した。平鍋氏は繰り返し“見える化”の必要性を説き、「ソフトウェア開発の先輩といえる建築業では設計図が存在し、設計図を見れば施工の間違いをすぐ指摘できる。一方、ソフトウェア開発では設計図に当たるものがないため、難しい。これは見えないからだ」と主張し、可視化ツールの重要性を説いた。

 チェンジビジョンでは利用者との対話を重視し、アジャイルに開発を推進する。開発やコンセプト、フィードバックの流れを1カ月〜3カ月サイクルでリリースするという。製品は国内を中心に海外へも進出し、将来的にはASPサービスの提供も目指す。売り上げは、3年間で延べ13億円、5年後には年間11億円の売り上げを目指す。当初は、永和システムマネジメントが資本金7000万円と、資本準備金7000万円の計1億4000万円を支出。4月に豆蔵も同額を出資し、資本金1億4000万円、資本準備金1億4000万円になる予定だ。

 当面の主力製品は、従来より販売しており、すでに6万以上のユーザーを有するシステムの可視化ツール「JUDE」と、プロジェクトの見える化を実現する可視化ツール「TRICHORD」の2本。JUDEは、システムや業務、アイデアを可視化するモデリングツール。「アイデアを可視化できるマインドマップとUMLモデリングを融合した初めての製品だ」(平鍋氏)と説明する。6月ころには、マインドマップツールだけを切り出した製品「JUDE/Think」(仮称)を出荷し、8月ころに最新版「JUDE 3.0」、9月ころにはビジネスモデリング機能を搭載した「JUDE/Biz」(仮称)を出荷する予定だ。

 TRICHORDは、プロジェクトの可視化を支援するツール。ストレージから取得したデータ(ヒト、コト、トキ)を可視化ビューを用いて「バーンダウンチャート」や「かんばん」「パーキングロット」といった、利用者に適したビューに変換して表示する。さまざまなデータベースと連携するための「Storage API」や、さまざまなビューへの変換は「View API」を利用して行う。TRICHORDは4月に早期リリース版を提供し、ユーザーの意見を取り入れながら順次機能強化していくという。

 平鍋氏によると、対象ユーザーは「いわゆるアーリーアダプターな人たちがメインターゲットとなる。ビジネスは製品販売をメインとし、必要であれば製品を売るためのコンサルティング活動も行うが、あくまでメインは製品販売とする。JUDEの業務の見える化機能は、日本版SOX法にも対応したコンプライアンスに有効なツールになるだろう」と説明した。

(@IT 大津心)

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