国内ストレージ投資は改革前夜、IDC Japan

2006/3/16

 IDC Japanは3月15日、東京都内でイベント「Japan Storage Vision 2006」を開催、この中で国内ストレージ市場の実績と動向予測を明らかにした。

 これによると、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを含む国内ストレージ投資全体は2004年が前年比2.3パーセント、2005年が3.8パーセントと、2年連続でプラス成長している。しかしその伸びはソフトウェアとサービスに支えられており、ハードウェアのみでは過去2年ともマイナス成長だったという。

 ハードウェアのマイナス成長の主因は2005年でマイナス24パーセントという、メインフレーム・ストレージへの大幅な投資減。一方でオープン外付け型ストレージとネットワークストレージはともにプラス成長しており、オープン・ストレージへのシフトは進んでいる。

IDC Japan ストレージ/サーバー グループディレクター 森山正秋氏

 特徴的なのは低コストディスクを使用した大容量システムが大きく成長していることだという。出荷容量で見ると、ATA/SATAの外付け型ディスクシステムに占めるシェアは、2004年には18パーセントだったが、2005年は30パーセントに急上昇した。特に100万円以下の低価格NASが、PCやサーバの高速バックアップ/リストア用途で普及している。

 IDC Japanのストレージ/サーバー グループディレクターである森山正秋氏は、各国の外付け型ディスクシステム投資を比較すると、欧米では昨年、毎四半期で2けたのプラス成長が見られたのに対し、国内では2けたのマイナス成長から微増と、動きが明らかに異なっていると指摘した。メインフレーム・ストレージのマイナス成長だけでは説明のつかないほど大きな違いだという。

 その理由として森山氏は、国内では法規制導入が遅れ、まだ従来型投資の延長線上にあること、保守・維持投資や個別最適指向が根強いこと、アプリケーションやサーバに対する投資を優先する傾向があること、を挙げた。

 しかし日本版SOX法の施行準備、データセキュリティへの意識の高まり、データ量の急増と多様化による管理負荷などの要因により、ストレージ投資はその内容を変えながら拡大していく可能性が高いという。

 IDC Japanでは、2005年から2009年にかけての国内ストレージ投資の平均年成長率を3.9パーセントと予測。ハードウェアは1.0パーセント、ソフトウェアは11.5パーセント、そしてサービスは6.1パーセントになるだろうとしている。

 森山氏はユーザーに対するIDCの提言として、セキュリティやコンプライアンスという観点でのストレージ投資、保有データの実態把握と管理ポリシーの設定、社会的リスクへの対応を契機としたストレージ基盤の構築、などを考えるべきだと話した。

(@IT 三木泉)

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