企業戦略と連動しない予算は不要、SAS

2006/3/17

 SAS Institute Japanは3月16日、予算立案・管理業務を中心とした経営管理セミナーを実施し、企業戦略を数値目標に換算した「戦略的予算」を基に行う経営管理の重要性を訴えた。

 講演したアクセンチュア エグゼクティブ・パートナー 財務・経営管理サービス統括 伊佐治光男氏によると、「長期にわたって競合他社より高い業績を挙げ続ける『常勝企業』は、短期的な視野でその年度の利益を追求するのではなく、将来価値を上げることを目的としている」という。

 伊佐治氏は、「多くの企業では戦略と予算が連動していない」と指摘し、将来価値の高い常勝企業になるためには、伝統的な年次の予算プロセスを省力化し、四半期ごとの業績予測を重視する経営が必要だと説明した。これは、年度末ではなく常に5四半期先を見ることにより、戦略と連動した投資が行えるからだという。その実現には経営管理・分析系のIT投資を継続的に行うことが必要だと述べ、「変化のスピードが上がり、前を見通して経営をしないとつまずいてしまう。ITの面でサポートするツールも多く登場しており、使わないことはマイナス要因になり得る」と訴えた。

 SAS Institute Japan EIPビジネス開発部 マネージャーで公認会計士の平野曉氏は伝統的な予算プロセスの課題として、企業の戦略を反映せず形骸化していること、予算編成が高コスト化していることなどを挙げた。企業戦略と連動し環境変化に強い、業績予測を基にした戦略的予算プロセス実現のためには、非付加価値作業の効率化と付加価値業務サポートのIT化が必要だという。

SAS Institute Japan EIPビジネス開発部 マネージャーで公認会計士の平野曉氏

 経営変革のためのIT化のポイントとして、ユーザーに使いやすいMicrosoft Excelなどのインターフェイスがあること、業務データと意思決定のための情報がシームレスに連携されていること、分析・予測機能がサポートされていることなどを挙げ、ソリューションの1例として「SAS ETS」と「SAS Financial Management」を紹介。予測モデル開発・予測分析を行うSAS ETSと予算策定・実績管理を行うSAS Financial Managementの組み合わせで、予測値を参照して予算を立て、実績との比較結果を分析してレポートするデモンストレーションを行った。

 平野氏は「予算管理プロセスで課題を抱えているなら、予算業務が非付加価値作業で閉められていないか、必要な情報がタイムリーに入手できているか、情報システムが戦略をサポートしているかチェックが必要」と説明した。

(@IT 長谷川玲奈)

[関連リンク]
SAS Institute Japan

[関連記事]
社員150人を採用して「Beyond BI」、SASの成長戦略 (@ITNews)
コグノスCEOが語る「BI成功の戦略」 (@ITNews)
戦略倒れの企業を救うパフォーマンス管理、SASが新製品 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)