社員150人を採用して「Beyond BI」、SASの成長戦略

2005/6/2

 ビジネス・インテリジェンス大手のSAS Institute Japanは6月1日、社員を増強して国内のR&D体制を強化する方針を発表した。SASのワールドワイドの売り上げのうち、日本法人が占める割合は約5%。同社代表取締役社長 堀昭一氏は「1日も早く10%超にすることがわれわれのマイルストーンだ」と語り、法人設立20年目を迎えた同社の目標を説明した。

SAS Institute Japanの代表取締役社長 堀昭一氏

 日本法人の社員は約210人だが、堀氏は今後3年間で150人以上を新たに採用すると述べた。米国本社のR&D部門へ日本法人からR&D社員を派遣して開発協力を進める。また、中国やインドにあるSASのR&Dセンターとの連携を強化して2バイト対応アプリケーションの開発も拡大する。SASが2004年3月に投入した主力製品「SAS 9」は、あらかじめ2バイト対応で開発された。イベントやセミナーも積極的に開催し、売り上げの底上げを図る。

 出荷後1年3カ月たったSAS 9は「好調に実績を伸ばし、日本でも新規ライセンスの売り上げが50%増を達成した」(堀氏)という。SASのワールドワイドと同様に国内でも金融や製造、ライフサイエンスなどの売り上げが高く、この3業種で売り上げの50%を超える。SASは好調の要因を、将来の予測を可能にする「Beyond BI」を積極展開しているためと分析している。

 Beyond BIは、業務システムのモニタリングや過去の分析などクエリとレポーティングが中心の従来のBIと異なり、BIで市場環境の予測や業務の最適化を行う考え方。SAS 9はBeyond BIのコンセプトを基に開発された。「今後何が起こるか、それに対してどのようなアクションがあり、それがどのような結果を招くかを導き出す本当のインテリジェンス」(同社 執行役員 EIPビジネス開発部 統括部長 桐井健之氏)を実現するという。「BIは質的変化が求められている」(桐井氏)

 また、桐井氏は、SASのBIの強さの理由として、プラットフォームとして提供していることを挙げた。ETL(データ抽出/加工/ロード)からデータウェアハウス、レポーティング、ビジネス・アナリティックスの分析、予測までのプラットフォーム「Enterprise Intelligence Platform」を構築。プラットフォームを1つにすることで、運用管理コストの低減などが図られ、全体最適を可能にするBIが実現できるというのがSASの考えだ。

 2001年10月からSASの代表取締役社長を務める堀氏は、「BIの活用の仕方が大きく変化した4年だった」と振り返ったうえで、「SASの決定が変化をリードしてきた」と述べて、Beyond BIを標榜するSASの影響力の高さを自賛。「SASは今年、特に日本でBIのマーケットを変化させるリーダーになる」と述べ、日本法人の成長、拡大を宣言した。

(@IT 垣内郁栄)

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