NEC子会社で363億円の架空取引、「内部統制の仕組みはあったが……」
2006/3/23
NECは3月22日、100%子会社のNECエンジニアリングで2002年3月から2005年12月にわたって架空取引があったと発表した。NECエンジニアリングの社員が計363億円の売り上げと93億円の営業利益を水増しして計上していた。社員は数千万円の着服を認めているといい、NECは社員を刑事告発する方針。
NECによると社員は半導体の製造設備部門に所属。2002年3月から、実際は取引がないのに仕入先、NECエンジニアリング、販売先の3者間で架空の取引を循環させて、売り上げを水増ししていた。仕入先や販売先が納品書などを提出していたことや入金が予定通り行われていたことから、2005年12月まで架空取引を見破ることができなかった。架空取引を行っていた社員は取引書類の偽造も行っていた。NECは監査法人と協議し、2002年3月期にさかのぼって連結財務諸表を訂正する。
NECは2005年12月の架空取引発覚後に、社内チームや外部の弁護士、会計士で調査を開始。363億円の売り上げと93億円の営業利益の水増しが明らかになった。NECは、架空取引について「4年間にわたりこの架空取引を発見できなかったのは、社内関係部門が本来行うべき取引へのチェックが十分行われなかったため」と発表文で説明。NEC広報部は「内部統制の仕組みはあるが、今回のNECエンジニアリングでは運用に問題があったと社内外から報告を受けている」としていて、企業内の不正を未然に防止するはずの内部統制システムが適正に働いていなかったことが要因との見方を示した。
今後の対策は「チェック機能が十分に機能できる体制に変える」(NEC広報部)ことを柱に、組織内の相互牽制機能の強化を目指した会社組織の変更や、現品確認の徹底、社員の再教育などを行うという。NECやほかのNECグループ会社でも「内部統制の運用面における不備の有無を早急に再確認するとともに、より厳正な運用を徹底」するとしている。
(@IT 垣内郁栄)
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