「Media2.0」を掲げるエキサイト攻めの事業戦略
2006/5/12
エキサイト 代表取締役社長の山村幸広氏 |
エキサイトは5月11日、2006年3月期の決算報告を行うとともに、次年度に向けた事業戦略を発表した。発表会冒頭、同社 代表取締役社長の山村幸広氏が掲げたエキサイトの新たなコピーは「Media2.0」であった。この言葉には、Web2.0というキーワードに集約されるインターネットの技術トレンドに乗る形でサービスを開発しながら、テレビ、新聞に比肩する新しいメディアを創造するとの同社の意図が込められている。
2006年3月期の同社の売り上げは非連結ベースで93億2000万円(前年度比46.8%増)、経常利益は同9億1000万円(同56.9%増)だった。ユニークユーザー、ページビューともに前年同期比40%前後で増加した。
山村氏はエキサイトを東京の表参道にたとえる。山村氏は表参道のイメージを「通勤帰りや休日に出かける街であり、住みたい街である」とする。F1、M1として分類される若い都市生活者に焦点を絞ってサービスを開発してきた同社にとって、表参道のイメージはエキサイトのイメージに重なるものだという。また、このイメージは、F1、M1層というターゲティングされた消費者に確実にメッセージを届けたいとするエキサイトの主要顧客(広告スポンサーなど)のニーズとも重なるようだ。
同社が掲げる「Media2.0」の実際的なビジネス戦略は、Web2.0の潮流を強く反映したものだ。同社の解説に沿って、Web2.0の潮流を大きく3つに分けると、「情報発信の基点がサプライヤから消費者へ」「閉じられたWebサイトから、開放されたWebサービスへ」「ネットワークが外部に拡散」となる。これらの基本要素を満たすサービスとして、同社は4月末に「Exciteネームカード」というサービスをリリースした。今後同社はこの「Exciteネームカード」を軸にして、さまざまなサービスを追加していく戦略を打ち立てている。
「Exciteネームカード」は、名前や職業、趣味などのユーザーの個人情報を、エキサイトのさまざまなサービスを通じて活用できるようにしたもので、同社では“インターネット上の名刺”と表現している。「Exciteネームカード」をハブとして、ユーザーは自ら情報を発信しながら、同じ嗜好(しこう)を持った人々とネットワークを構築していく。ネットワークが自律的に拡散していくというこの仕組みは「エキサイトが考えるソーシャル・ネットワークの形態」(山村氏)である。
「Media2.0」の新サービスとして5月末にリリースを予定している「Woman.excite クリップ」は、「Exciteネームカード」に気にいった記事をクリップできるサービス。クリップされた記事の下には「Exciteネームカード」を登録したユーザーのアイコンが表示され、コミュニケーションができる。そのほか、「Excite ism ウィキ、コンシェルジュ」、音楽サービス「Excite Music × Last.fm」「モバイルRSSチャンネル」のリリースを計画している。
(@IT 谷古宇浩司)
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