NECのプラットフォームは仮想化で「リアル」を目指す
2006/7/19
NEC 代表取締役社長 矢野薫氏 |
NECは7月18日、同社のITプラットフォームに関するビジョンを発表するとともに、これに基づく製品の第1弾として、最新のインテルItaniumシリーズプロセッサを搭載したエンタープライズサーバと、「フローティングI/O」技術を搭載したブレードサーバを発表した。
NECの新ITプラットフォームビジョンは「REAL IT PLATFORM」。同ビジョンでは、「現実」「真実」という2つのリアルの実現を目指すという。
同社代表取締役社長矢野薫氏は、「NECより規模の大きなベンダは多数存在しているが、NECは特徴のある製品を提供していくことができる。欧米での他社との提携やアジアでの直接販売を含め、この(ITプラットフォーム)分野で2けた成長を続けていける可能性は十分にある」と話した。
同社は、仮想化技術による柔軟性の確保、高信頼性技術による安心の提供、統合化技術と運用技術による快適さの追求を進めていくとしている。
柔軟性の実現では、各CPUに対してストレージやネットワークのI/Oをニーズに応じて物理的に割り当てるフローティングI/Oをすでに実現しているが、さらにサーバ増設によりCPUを最大128コア以上まで自動的に拡張できる技術や、分散キャッシュを用いて複数のストレージコンポーネント(ホストアダプタ、キャッシュアダプタ、ディスクアダプタ、ディスクドライブ)を組み合わせられる技術を提供するという。
また、NECでは自社開発の仮想マシン環境を2007年に提供する予定。これについて同社執行役員常務の丸山好一氏は、「VMwareやXenを適材適所で使っていくが、これらをうまく管理する必要がある」とし、複数仮想マシン環境の統合管理に、自社の仮想マシン環境を生かしたいと述べた。また、自社開発の仮想マシン環境は、NECの求める機能要件や製品リリースのタイミングに対応するためにも必要と丸山氏は話している。自社ハードウェアと仮想マシン環境の統合も、自社仮想マシン環境推進のもう1つの理由のようだ。
高信頼性技術では、2007年に全部品の冗長化機能を搭載、サーバ稼働中のCPUやメモリの交換を2007年以降に実現するなど、メインフレームと同等の信頼性を確保するとしている。クラスタリングでは2007年に、障害の予兆を検知して自動的にノードを切り替える、不安定なノードを強制停止するといった機能を搭載する予定。
快適さの追求では、ハードウェアでの統合化と管理ツールでの導入・管理の統合化を推進。さらに管理ツールには、実経験に基づくナレッジを組み込んで、高度なノウハウを不要にしていくという。
NX7700iは3モデルで構成。写真は最大64コア搭載可能な最上位モデルの「5080H-64」 |
新製品のエンタープライズサーバ「NX7700i」は、インテルのItaniumシリーズプロセッサの新製品「デュアルコアインテルIntanium 2プロセッサ」(開発コード名:Montecito)を搭載。インテルによる同プロセッサの発表は7月19日に予定されており、1日早い発表となった。
NX7700iでは、この新プロセッサに自社開発の新チップセット「A3」を組み合わせている。A3はNECのItaniumファミリ用として第3世代となるチップセット。前チップセットと比較して、メモリアクセス帯域を12.8Gバイト/秒から25.6Gバイト/秒に上げるなどの性能改善を施した。
さらに、ある物理パーティションでは通常のOSとアプリケーションを稼働すると同時に、ほかの物理パーティションでは仮想化ソフトウェアを通じて複数の仮想マシンを稼働するといった利用形態を初めて実現した。セルボード(CPUとメモリを1つにしたボード)単位での負荷分散や障害復旧を自動的に実行する機能も搭載している。
ブレードサーバの新製品「SIGMABLADE」は、幅広い規模や用途に対応するブレードサーバ。レイヤ2スイッチモジュールやファイバチャネルスイッチモジュールにより、ネットワークやストレージも統合することが可能。
特筆されるのは「I/O仮想化機構」と呼ばれるフローティングI/Oのためのブレード。この機能は、同社が昨年発表した「シグマグリッド」に搭載されているが、シグマグリッドの筐(きょう)体はかなり大きい。よりコンパクトな製品に対する同機能の搭載を望む声に応えて新製品への搭載となった。このブレードを使うことにより、複数筐(きょう)体にまたがったフローティングI/Oが実現できる。
SIGMABLADEでは、2006年度下期にインテルの次期クアッドコアCPUやデュアルコアItanium 2を搭載したブレードを提供、さらに2008年度以降にはACOSブレードなども提供の予定。
(@IT 三木泉)
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NECの発表資料
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