NECと松下が携帯関連合弁会社設立で世界再攻略?
2006/7/28
NECの矢野薫社長(左)と松下電器の大坪文雄社長(右) |
NECと松下電器産業(松下電器)は7月27日、両社の携帯電話端末開発の合弁会社と、通信コア開発の合弁会社の設立を発表した。後者については特に日本市場が先頭を走っている3G、3.5G関連の機能を武器とし、2008年には世界のWCDMA通信コア外販市場において20%獲得を目指すという。
今回の発表について、松下電器 代表取締役社長 大坪文雄氏は、「松下電器は家電で総合的な商品提案ができる世界で唯一の企業。(その一角をなす)携帯電話という厳しい市場で勝ち残るための基礎を固める」ためのものと話した。一方、NECの代表取締役社長 矢野薫氏は、「携帯電話で収益を上げていくための基本的スキーム」として新会社が機能すると話した。
携帯電話開発の合弁会社はNECとパナソニックモバイルコミュニケーションズ(パナソニックモバイル)が1億円の出資金を折半で負担し、10月上旬を目途に設立する。
2社はそれぞれの製品ブランドを維持し、端末の商品企画、商品開発、資材調達、販売、製造については今後も別個に行っていく。しかし、基本アプリケーションからその下のミドルウェア、OSとして利用するLinuxの統一、さらにチップの共同開発を進めることで、多機能化、高機能化により開発負担が増すばかりの携帯電話ビジネスの状況を打開したいという。
パナソニックモバイル代表取締役社長の櫛木好明氏によると、「開発コストは3分の1程度削減できる」という。
NECと松下電器、パナソニックモバイルの3社は、2001年に携帯電話開発の協業を発表し、NECとパナソニックモバイルは、Linux OSベースのミドルウェアを共同開発してきた経緯がある。その後の状況変化について、櫛木氏は外部的要因を「ミドルウェアは高機能化しており、強化と共通化が重要になってきた。また、6月に世界の6社がLinux をベースとする携帯電話向けソフトウェアプラットフォームの推進で合意できたことから、世界に出ていけるようになった」とし、内部的な要因としては「設計は机を並べてやらないとスムーズに進みにくい」と説明した。
従来は両社での共通化を進めながらも、ハードウェアからミドルウェアまで各社の仕様が存在し、完全な共通化には至っておらず、非効率が生じていた。新携帯電話開発会社では、まず2007年にミドルウェアを中心として一部機種の共通化を実現、2008年にはミドルウェアに加え、基本アプリケーションについても統一、さらにLSIの統合も実現する予定。
一方、通信コアを開発する合弁会社「アドコアテック株式会社」は、120億円の出資金を、NECとNECエレクトロニクスが44%、松下電器(半導体社)とパナソニックモバイルが44%、さらにテキサス・インスツルメンツ(TI)が12%の比率で分担し、8月上旬に設立される。
アドコアテックにTIが出資する理由について、NECの矢野氏は「世界はGSMが主流で、3Gと2.5Gのデュアル対応が必須。TIが一緒にやることで、世界に出られるチップがつくれる」と述べた。
アドコアテックは、TI、NEC/NECエレクトロニクス、松下電器/パナソニックモバイルから半導体技術のライセンスを受け、2.5Gから3G、3.5Gまでをサポートする通信コアを開発、回路設計情報をNECエレクトロニクス、松下電器半導体社、TIにライセンス。これを基に3社が製造を行い、各社のアプリケーションCPUと統合して端末ベンダに販売する。
販売先としては2社に限定することなく世界中の端末ベンダを想定し、将来的には3.5Gのさらに次の世代に対応した通信コア開発を視野に入れているという。
(@IT 三木泉)
[関連リンク]
携帯電話の開発合弁会社設立に関する発表資料(松下電器)
通信プラットフォームの開発会社設立に関する発表資料(松下電器)
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