au、上り最大速度1.8MbpsのサービスはAll IPへの道筋
2006/8/23
KDDIは8月22日、同社の携帯電話サービスauにおいて、第3世代無線データ通信インフラの機能拡張版「EV-DO Rev.A」を2006年12月に提供開始すると発表した。現在のデータ通信インフラ「EV-DO Rev.0」の後継となるEV-DO Rev.Aは、上り伝送速度を大幅に改善。同社による今後のリアルタイム双方向サービスを支える基盤となる。
EV-DO Rev.Aでは、データ通信の上り伝送速度が最大1.8Mbpsと、現在のRev.0における144kbpsと比較して大幅に向上する。EV-DO Rev.AとNTTドコモが推進中の「HSDPA」(High Speed Downlink Packet Access)を、ユーザーの体感速度に直結する単位周波数当たりの伝送可能容量で比較すると、下り伝送についてはほとんど同等であるものの、上り伝送については大幅にRev.AがHSDPAを上回ると、KDDIの技術統轄本部 技術開発本部長 渡辺文夫氏は説明した。
ユーザーの体感速度に近い数値(表中の「システム効率」)で比較しても、上り伝送はRev.AがHSDPAの約2倍になるという(クリックで拡大) |
しかし、「これは単純な速度競争ではない」と渡辺氏は強調する。同社は音声とデータ通信が別個のインフラで提供されてきた携帯電話の通信インフラをIPに統合する「All IP」への移行を目指している。Rev.Aは、このAll IPを実現するための根幹的なインフラになるという。
Rev.Aでは、サービス効率や品質の改善・制御にも工夫が施されている。下り伝送については、VoIPのような小容量パケットを単一スロットで4ユーザー分が伝送できるようにし、遅延を低減する。また、上り伝送ではデータを従来のフレームの4分の1の長さのサブフレームに圧縮して送信する。音声や動画など、アプリケーションの単位で伝送の優先度を制御する機能も新たに実現した。これにより、多数のユーザーが同一の無線インフラを同時にさまざまなアプリケーションで共用していても、最終的に音声だけは安定的に使える環境を確保することができる。
KDDIでは、Rev.Aを2GHz帯および割り当て変更による新たな800MHz帯を使う基地局に順次展開。Rev.Aによるサービスは2006年12月に東京・名古屋・大阪エリアで開始。2007年3月にはサービス地域を全国主要都市に広げるという。
2006年12月にはRev.A対応端末も提供開始し、同時にIPベースのテレビ電話サービスがスタートする。
また、KDDIでは新たなマルチキャスト配信の仕組み、「BCMCS」(Broadcast/Multicast Services)を、2006年9月に全国で提供開始すると発表した。単一のチャンネルで多数の利用者に同一コンテンツを同報配信できる機能で、周波数を有効に活用し、大容量コンテンツやリアルタイムコンテンツを充実させることができる。BCMCSは3GPP2の同期CDMAをベースとした技術であり、無線品質が低い状況や基地局間のセル境界でも安定的な受信が可能だという。
同社ではまず、auの動画サービス「EZチャンネル」の人気コンテンツにこの技術を適用するとしている。
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