もうバッテリ切れはない? Windows VistaとノートPCの相性は

2006/9/5

 「必ずしも外に持ち出すPCだけでなく社内、家庭内でもWindows Vistaのモビリティ機能は有効だ」。マイクロソフトが今年11月にまずは企業向けから提供開始するWindows Vista。3Dグラフィックスのインターフェイスなど派手な新機能が注目されるが、マイクロソフトの担当者は日本で出荷の55%を占めるノートPCでもWindows Vistaは有効と強調する。特にアピールするのは電源管理とコラボレーション機能。ノートPCを主に使う企業ユーザーにとって、Windows Vistaは有用か。マイクロソフト Windows本部 ビジネスWindows製品部 シニアプロダクトマネージャ 飯島圭一氏は「Vistaの新機能は受け入れられる」と自信を見せる。

マイクロソフト Windows本部 ビジネスWindows製品部 シニアプロダクトマネージャ 飯島圭一氏

 Windows Vistaの電源管理機能は状況に応じて設定を簡単に変更できるようシンプルなインターフェイスを採用した。標準設定に基づき、ユーザーは電源を「バランス」「省電力」「高パフォーマンス」の3項目から選択する。それぞれの項目はより詳細に設定することも可能。

 大きく変わったのはスリープモードの採用だ。スリープモードは従来の「スタンバイ」(作業中データをメモリに保存し迅速に復帰)と「休止状態」(作業中のデスクトップイメージをHDDに保存、消費電力を最小化)を兼ねそろえた機能。デスクトップPCとノートPCで動作が異なり、デスクトップPCでスリープモードを選ぶと、作業中のデータをメモリとHDDの両方に書き込む。つまりスタンバイと休止状態の併用で、マイクロソフトは「ハイブリッド・スリープ」と呼んでいる。

 スリープモードからの復帰ではメモリからデータを読み込み高速にPCを立ち上げる。PCの電源が抜けるなどの障害があってもHDDからデータを読み込み復帰可能。デスクトップPCでは作業終了時に電源をオフする使い方が一般的だが、マイクロソフトのWindows本部 パートナーマーケティング部 シニアテクニカルエバンジェリスト 中里倫明氏は「デスクトップPCでもスリープモードを頻繁に使ってもらいたい」と話した。

 ノートPCではスリープモードは別の動きをする。スリープモードを選ぶと作業中のデータをメモリに保存するスタンバイ状態にまずは入る。持ち歩くことが多いノートPCはスリープと作業再開を繰り返すことが多い。ただ、スタンバイ状態を長時間続けるとバッテリが消費する。そのためノートPCのスリープモードではスタンバイに入った後、18時間たったり、バッテリレベルが低下すると、自動で休止状態に切り替わる。データをメモリからHDDに保存し、PC電源をオフ。消費電力を節約する。スタンバイから休止状態に切り替わる時間は変更可能だ。

 Windows XPでは、アプリケーションのブロックなどでユーザーがスタンバイに設定してもPCがスタンバイ状態にならないことがあった。PCが稼働し続けてバッテリレベルが低下したり、HDDをクラッシュさせるケースもあった。Windows Vistaではユーザーの指示を最優先し、アプリケーションがブロックしてもスリープモードに入るようにした。

 電源管理機能はグループポリシーによって一括変更できる。Active Directoryと組み合わせれば複数のPCの電源を統合管理でき、「全体のコストセーブが可能になる」(中里氏)という。

 マイクロソフトが「Windows Vistaでのモバイルのキラーシナリオになる」と見ている機能が、Windows Vistaユーザー同士で簡単にファイル共有などを行える「Windows ミーティングスペース」。ノートPCを会議室に持ち寄って会議をする場合などに便利な機能で、10人までの参加者に対応する。ある参加者のデスクトップ画面やファイルを別のユーザーと共有できる。同じネットワークに接続しているWindow Vistaのユーザーなら簡単な操作で参加可能。プロジェクタなどの設備がない部屋でのプレゼンテーションやレビューなど資料の確認を行う作業に適しているという。

(@IT 垣内郁栄)

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