Web 2.0とオフラインの良いところ取りをする、MS

2006/9/14

 マイクロソフトは9月13日、報道関係者向けの説明会を実施。9月11日(米国時間)に正式版サービスを開始した「Live Search」と「Live.jp」をマイクロソフト 執行役 オンラインサービス事業部 事業本部長 塚本良江氏が説明した。

マイクロソフト 執行役 オンラインサービス事業部 事業本部長 塚本良江氏
 塚本氏は、Web 2.0時代の到来によって「Webがブラウザベースだったものが、プラットフォームにまで発展していった」と説明。マイクロソフトはこの時代の流れに乗るために新しいビジネスモデルとしてオンライン広告事業へのシフトするとした。同氏によると、世界のソフトウェア市場は約13兆円なのに比べて世界の広告市場は約55兆円で、2009年にはそのうちの10%がオンライン広告市場になると予測し、市場の大きさに期待を寄せた。

 このような状況を踏まえて、マイクロソフトでは「Windows Live」戦略を掲げ、ソフトウェアのオンライン化やオンライン広告のビジネスモデルを打ち出した。オンライン広告は「MSN adCenter」が中心となって広告を管理・配信し、現在同社が持っているWindows LiveやMSN、Microsoft Update、Xbox Liveなど、すべてのオンライン資産に広告が出るようになる。そして、オンライン広告の収入によって一部のソフトウェアは無料にする予定だと語った。

 Windows Liveのもう1つの戦略のポイントが「User in Control」だ。ユーザー自身が、Windows Live上で動くさまざまなガジェットを作れるほか、特定のWebサイトだけを検索するように改造したテンプレートを配布することができる。「これにより、ユーザー自身が検索結果をある程度コントロールできるようになる。野球好きのコミュニティで野球サイト用のテンプレートを配れば有効だろう」(塚本氏)と説明した。

 Windows Liveが開始されることで、従来マイクロソフトのポータルサイトを独占していた「MSN」にWindows Liveもポータルサイトとして加わる。この点について、マイクロソフトは、一部の積極的にカスタマイズしたり、プロアクティブに情報収集するユーザー向けのポータルサイトにWindows Liveを位置付け、そのほかの大多数のユーザー向けにMSNを位置付ける。ただし、双方の検索機能は統合され、いずれのサイトで検索しても、検索結果は同じものになるという。検索機能は今後デスクトップ検索などとも統合され、「PC内検索も、LAN内検索も、インターネット検索もすべて同一のインターフェイスから行えるようになる予定だ」(塚本氏)とした。

 広告の配信は「.NET Passport」のプロフィールなどを利用して、ターゲティングした広告配信を予定。塚本氏は「当初は、リスティング広告メインで配信するが、将来的にはMSNなどと同じようなFlashや動画を使ったリッチ広告を配信していく予定だ」と説明した。Web 2.0やオンラインソフトウェア分野では後発となる点については、「Googleなどと最も異なる点は、Googleなどがオンラインだけで完結するのに対して、当社はデスクトップPCやオフラインのサービスなども手掛けて提供する点だ。やはりオンラインのみは厳しいのではないか」(塚本氏)とコメントした。

(@IT 大津心)

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