セールスフォース、日本にもデータセンターを作って日本人を安心させたい

2006/10/4

 セールスフォース・ドットコムは10月3日、報道関係者向けの説明会を実施し、米セールスフォース・ドットコム 代表取締役社長 ジム・スティール(Jim Steele)氏が、今後の同社の戦略などを説明した。

米セールスフォース・ドットコム 代表取締役社長 ジム・スティール氏
  同社が提供するオンデマンドCRM「Salesforce.com」は順調に利用者を増やしており、2006年7月31日時点で、世界65カ国にわたって2万4800社、50万1000ユーザーが利用しているという。利益も順調に増加しており、2007年度の利益は約4億9500万ドル(前年度3億900万ドル)になる見込み。

 セールスフォース・ドットコム日本法人社長の宇陀栄次氏は日本市場の状況について、「日本ではパートナーとの協力関係を重視しており、金融はすでにおおむねカバーできており、自動車や家電業界にも入りつつある。近ごろはシステムインテグレータも『オンデマンド分野ではもうけられない』という常識が間違っていることに気付きつつある。最近では先方から問い合わせがくるようになってきた」と語り、日本で影響力の強いシステムインテグレータとの協業関係が築けてきていることを強調した。

 スティール氏は、続いて同社サービスの信頼性が高いことをアピール。例えば、99.9%の稼働実績や1日5000万件を超えるトランザクションを処理し、1トランザクション当たり300ms以下の応答速度を実現しているとした。また、「ユーザーが一番大事だといっている」(スティール氏)安全面に関しては、システムの安全性を保証する「SystTrust認証」や、セキュリティ監査基準「SAS 70 タイプII」を順守しているとし、安全性も問題ないと強調した。

セールスフォース・ドットコムのトランザクションと応答速度の履歴。トランザクションが右肩上がりで増加しているのに対して、応答速度は速くなっているのが分かる
  そのほか、パフォーマンスも改善している点もアピール。同社のトランザクションは増加の一途をたどっており、2005年第1四半期の総トランザクションが5億件程度だったものが、2007年第2四半期には30億件を突破した。一方で1トランザクション当たりの応答速度は、2005年第1四半期の600msから、2007年第2四半期には300ms以下まで向上しているとし、トランザクションは増加しているにもかかわらず、応答速度は速まっていると説明した。

 最後に同氏は、10月8日から開催される同社主催のイベント「Dreamforce'06」にて発表予定の新機能などを発表した。同イベントで発表される予定の新バージョン「Salesforce Winter'07」では、「いままでにできなかった革新的なユーザーインターフェイスを提供する」(スティール氏)ほか、Ajaxコンポーネントや新しいカレンダーデザインなどを提供する予定だという。また、分析機能を強化。すでにAppExchange上で提供しているビジネスオブジェクトやオムニチュアなどの分析ソリューションパートナーに加え、新たにアドバイザーソリューションズなどの分析ソリューションも利用できるようにする。

 スティール氏は今後の日本市場について、「日本は非常に有力な市場だ。まだ時期などは明言できないが、現在は米国内だけに存在する当社のデータセンターを日本にも作ることを検討している。日本のユーザーを安心させるために日本にオンデマンド専用のデータセンターを作りたい。そして、日本を中心としてアジアにサービスを提供したいとも考えている」と説明し、今後日本にもデータセンターを作る可能性があることを示唆した。

(@IT 大津心)

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