Apexでサーバパフォーマンスが向上、セールスフォース担当が語る
2006/10/14
米国サンフランシスコで開催されている米セールスフォース・ドットコムのプライベートイベント「Dreamforce'06」で、同社の共同創業者でテクノロジ統括責任者でもあるパーカー・ハリス(Parker Harris)氏に、同社のオンデマンド向けプログラム言語「Apex」などについて聞いた。
――いつごろからApexを作ろうと考えていたのでしょうか。
米セールスフォース・ドットコム 共同創業者兼テクノロジー統括責任者 パーカー・ハリス氏 |
ハリス氏 以前から、システムインテグレータなどから言語を作ってほしいという要望があり、数年前からプログラミング言語を作ろうとは考えていた。しかし、実際には諸事情によって開発の開始が遅れ、最近の6カ月間で作ったのが実情だ。現在のところ、ランタイムも存在していない状態だ。まずは当社で使ってみて、来年からユーザーにも使ってもらえるようにしたいと思っている。
――Apexは登場したばかりで開発環境が整っていませんが、どのようなサポートを考えていますか。
ハリス氏 Apex専用のトレーニングやマニュアルは当然用意する。また、ユーザーフォーラムや開発フォーラムなども作ってサポートしていくつもりだ。普及するまではさまざまなサポートをする準備がある。企業支援サービス「AppExchange Incubators」もそのうちの1つに挙げられるだろう。
――ユーザーがApexを使うようになるとサーバ側の対応が複雑になるので、パフォーマンスやトランザクション面に問題がでてくるのではないでしょうか。
ハリス氏 現在、当社へのトランザクションの約半分がAPIによるものだ。このAPIのコールはApexでほとんどカバーできると考えている。また、ApexはJavaに非常に似ているので、Javaと同様にバイトコードでコンパイルしていく。従って、Apexのコードがどのように実行されていくのか、という点を完全に把握することができるのが特徴だ。そのため、あまりにもデータベーストランザクションが多いプログラムや、無限ループしているプログラムなど、アブノーマルな動作を行うと自動的に止めることができるので、サーバ側への負荷はあまり問題がないだろう。
――ユーザーニーズを公表する場として、アイデアエクスチェンジを発表しましたが、その狙いを教えてください。
ハリス氏 従来であれば、顧客は自分の要望やアイデアをそのまま当社へ送ってきた。しかし、アイデアエクスチェンジの登場によって、さまざまなユーザーのアイデアが公開され、ユーザー同士で共有できるようになった。つまり、アイデアの拡張性が持てるようになったのだ。複数公開されているアイデアを見て、ユーザー同士が議論することで“本当に必要なのはどんな機能なのか”というポイントが洗練されるはずだ。アイデアエクスチェンジのポイントはこの洗練される部分にある。
――今後、自社サーバで利用したい、サーバを別にしてほしいなどの要望があったらどのように対応しますか?
ハリス氏 当社のサービスの最大のポイントには、「ユーザー側でアップデートをする必要がない」や「セキュリティの心配がない」といった点が挙げられるだろう。しかし、サーバを個別に用意してしまったら、これらのメリットは享受できなくなるので、魅力が半減してしまう。従って、個別サーバの要求には応えられないだろう。
(@IT 大津心)
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