非構造化データ対応を強化

次期DB「Oracle Database 11g」を来夏にも出荷、米オラクル

2006/10/24

 米オラクルは次期データベース「Oracle Database 11g」を来年夏にも出荷開始する。開催中のイベント「Oracle OpenWorld 2006」で同社 サーバテクノロジ・ディビジョン担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのチャック・ロズワット(Charles Rozwat)氏はOracle Database 11gのベータ版を来場者に向けてプレビューし、500種類近い新機能をアピールした。

oracle01.jpg 米オラクルのサーバテクノロジ・ディビジョン担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのチャック・ロズワット氏

 ロズワット氏はOracle Database 11gについて「とても大きなリリースで、482の新機能がある。ユーザーの環境に応じて最も適した機能から導入することができる」と語った。Oracle Database 11gの特徴は主に2つ。XMLデータなど非構造化データの取り扱い性能の向上と、アプリケーションを含む運用管理の自動化の強化だ。

 非構造化データの取り扱いではSQLエンジンを改良し、非構造化データをOracle Databaseに構造化データと同じように格納できるようにした。非構造化データの読み取り速度も一般のファイルシスムテムと同等まで引き上げて、使い勝手を向上する。「Oracle Databaseの性能を非構造化データに適用できる」(ロズワット氏)。データの種類に応じて格納するストレージを選択するインフォメーション・ライフサイクル・マネジメント(ILM)の機能も向上させ、データ圧縮率も高める。

 非構造化データの取り扱いではIBM DB2も最新版でネイティブに対応できるようにしている(参考記事)。電子メールや画像、動画、オフィス文書などの非構造化データが企業で急激に増えていることが背景にある。

 運用管理の自動化ではOracle Enterprise Managerを強化して、PeopleSoft、SiebelなどOracle Databaseと連携するアプリケーションの管理もOracle Enterprise Managerでできるようにする。特にOracle Database 11gにはアプリケーションを停止させずに、アップグレードできる新機能を追加。Oracle Database 11gについて講演した米オラクルのオラクル・サーバー技術担当 シニア・バイスプレジデント アンディ・メンデルソン(Andy Mendelsohn)氏は、同機能をデモンストレーションし、オンライン中のアプリケーションのアップグレードを披露した。

 メンデルソン氏によると、Oracle Database 11gはシングルインスタンスであってもデータベースを停止せずにパッチを適用できる「オンライン・ホット・パッチング」に対応する。Oracle Databaseはこれまで複数のクラスタで1ノードずつ停止させ、パッチを順に適用する「ローリング・パッチ・アップデート」が利用できた。しかし、Oracle Database 11gではシングルインスタンス、もしくは1つのクラスタだけの環境でも、無停止でパッチ適用ができるようになる。Oracle Database 11gは障害発生時にエラーを自動修復する「Automatic Diagnostic Workflow」も搭載。計画停止、計画外の両方でシステムのダウンタイムを極力短くする機能を複数搭載する。

 オラクルは開発者向け製品の拡充も進める。ロズワット氏が紹介した「Oracle Application Express」は「30秒以下でアプリケーションを開発できる」(同氏)ことをうたう開発ツール。アプリケーションのフォームやデータソース、GUIをテンプレートから選ぶことでOracle Databaseと連携するアプリケーションを簡単に作成できる。また、オラクルはJavaの再利用可能なコードを発見し、展開、実行することができる開発ツール「Oracle Developer Depot」を発表した。「Oracle Application Server 10g」上で稼働するツールで、「Java経験のない開発者でもアプリケーションを短時間で稼働できる」としている。

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(@IT 垣内郁栄)

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