中国での強みを生かして攻勢をかけるAT&T
日本と同じサービスレベルを中国でも〜AT&T
2006/10/25
中国の通信ネットワーク市場は、国営企業である中国電信(CT)と中国網通(CNC)による寡占状態だ。北京や天津を中心とした中国北部地方をCNCが担当し、上海など南部をCTが担当するが、両地域にまたがる回線の場合には両社の連携が悪く、相互乗り入れが困難な場合が多いという。しかし、外資系企業として唯一通信事業者免許を取得しているAT&Tの場合、同社のデータセンターにCNCやCTなど主要企業の回線を両方収容しているので、スムーズな連携が実現できるとアピールする。AT&Tグローバル・サービス 第二営業統括本部 取締役統括本部長 束原政光氏に話を聞いた。
中国のネットワークには、専用線やADSL、ダイヤルアップなどが主に使われており、ADSLは512Kbps〜2Mbpsが一般的でほぼ全国で利用できる。おおむね、中国国内でのインターネット利用には問題がないが、料金が帯域に比べて高いことと、安定性や信頼性、運用面には問題があるという。また、国際間のインターネット利用は「国際間のインターネット帯域が細くアクセスが不安定になるので、ビジネスでの利用には向かない。遅延させたくないアプリケーションの場合はIP-VPNを推奨している」(束原氏)といった実情がある。
また、中国の通信ネットワーク市場は外資系通信会社に対しての規制が厳しく、外資系企業へはSI(システムインテグレーション)事業は開放しているものの、通信サービスを単独で提供することはできない。固定回線においては、現在25%の資本参加による回線販売に関する合併会社の設立が許可されており、AT&Tが外資系として唯一合併会社「SST(上海信天通信有限公司:Shanghai Symphony Telecom)」を2002年3月に設立しているという。
従って、多くの外資系通信会社は、中国進出企業をサポートする際に、システムインテグレーションを主に行うものの、「現地で回線サービスは提供できないために、回線部分に関してはCTやCNCに対して、個人的なサポートとして交渉代行を行うことしかできないのが現状だ」(束原氏)とした。一方、SSTは上海にデータセンターを開設して、CTやCNCを代表とした主要5社の回線を引き込んでいる。このため、南部と北部にまたがって拠点を設置したい場合でも、CTとCNC双方に交渉することなく、回線を施設できる。
束原氏によると、現在中国で企業間ネットワークを構築する際によく行われている方法に、IP-VPNをメイン回線として中国内拠点間の接続を行い、サブ回線としてインターネットVPNを利用するといった構成があるという。両者で冗長構成を組むことで、万が一メイン回線に支障が出た場合でもバックアップが行える。また、同社ではセキュリティやディザスタリカバリサービスも合わせて提供している。
同氏は、「中国では、外資系としては当社しか提供できない回線サービスのメリットを訴求ポイントとして、日本企業の中国進出を手助けしたい。日本の信頼性の高いネットワークサービスと同レベルのサービスを、中国でも実現し、ユーザーを満足させたい」と意気込みを語った。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
最新記事
|
|